“様子見”で死に至るケースも 「脂肪肝」治療の誤解と対策
肝臓の左右の組織を取って生検した場合、それぞれの状態(脂肪肝がどの程度進行しているか)が一致するのは5割ほどとの報告もある。
今城医師らは最近、「NASHの状態をMRIで検査できる」という研究結果を発表し、高い評価を受けた。生検で指摘されていた問題点はクリア。生検では見えてこない「肝臓全体がどれくらい硬くなっているか(進行しているか)」が一目瞭然なのもポイントだ。
「肝臓は均一に硬くなっていくといわれてきましたが、MRIで硬い場所とそうでない場所があることも実証しました。今後はより詳細な重症度の分類に役立てられるでしょう」
【まずMRI、次に生検】
現段階では、脂肪肝の判定は生検が基本。それが、脂肪肝の状態をチェックできるMRIの普及で変わるかもしれない。
「MRIは、肝臓の脂肪の蓄積具合(脂肪化)、どれくらい硬いか(線維化)が分かる。しかし、炎症や肝細胞の破壊がどの程度かは、生検でないと分かりません。まずMRIで深刻な脂肪肝の有無を調べ、深刻であれば必要に応じて生検でさらなる検査をする流れが脂肪肝の適切な治療では望ましい」
診断技術や治療は進歩している。患者側は、まずは「脂肪肝の深刻性」を認識しなくてはならない。