“様子見”で死に至るケースも 「脂肪肝」治療の誤解と対策
医師から「脂肪肝です」と診断され、危機感を覚える人はどれくらいいるだろうか? それが「最悪の結果」を招くかもしれない。横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室・今城健人医師(写真)に聞いた。
脂肪肝は、肝炎から肝硬変、肝臓がんと進行することもあり、肝臓がんに至ると手術でがんを切除できても再発率が高い。そのため、早期であっても5年生存率は50%超と高くない。
肝炎の原因は、大きく分けて「ウイルス性」と「非ウイルス性」がある。前者はC型、B型肝炎などで、肝臓がんの原因の圧倒的多数を占めていたが、画期的な薬が登場し、「治る病気」という認識も出つつある。近年、注目度が高まっているのが非ウイルス性だ。
■「アルコール性」よりタチが悪い「非アルコール性」
非ウイルス性には脂肪肝に伴う肝炎が含まれており、それらは「アルコール性」と「非アルコール性」がある。特に「非アルコール性」は、今、肝疾患の専門医の間で最もホットなテーマのひとつといってもいい。
「非アルコール性脂肪性肝炎である『NASH(ナッシュ)』は、断酒で肝機能が改善する余地があるアルコール性と異なり、打つ手が少ない。複数の因子が関係しており、全てゼロにするのは不可能だからです。NASHが原因の肝臓がんは今後増えると考えられています」