無理なダイエット経験者は要注意 サルコペニア肥満の怖さ
では、サルコペニア肥満を解消するにはどうしたらいいのか?
「まず運動です。筋肉は瞬発的に大きな力を出すための速筋と持続的に力を出す遅筋とに分かれています。年と共にやせ衰えていく筋肉の多くは速筋です。これを維持し、増やすにはウオーキングだけではダメ。通常のスクワットと足を前後に開いて行うスプリットスクワット、それに100円ショップなどで買えるハンドグリップなど器具を使った筋トレが必要です」(林院長)
むろん、脂肪を燃焼するにはウオーキングなどの有酸素運動が欠かせない。つまり、「やせながら筋肉量を維持する」には「筋トレ」と「有酸素運動」が必要なのだ。
では食事はどうか? 体は十分なタンパク質が入ってこないと、筋肉を分解して必要なタンパク質を補給する。そのため、筋肉の原料となるタンパク質(=アミノ酸)は取れば取るほど良さそうだが、そういうわけではなさそうだ。骨格筋内のオートファジー研究の第一人者である、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の佐久間邦弘教授が言う。
「筋肉の萎縮の原因のひとつに筋肉の細胞内にある、オートファジーと呼ばれるシステムの機能不全があります。不要なタンパク質やミトコンドリアなどを分解・再利用することができなくなり、細胞内がゴミだらけになって筋肉を萎縮させるのです」