著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

「炭酸水」は薬の効果を下げてしまうのか

公開日: 更新日:

 薬を服用する際、ミネラルを含んだ硬水や牛乳では、相互作用を起こすケースがあることをこれまで紹介してきました。

 では、「炭酸水」はどうでしょう? 海外では、炭酸水も「水」として一般的に飲まれています。最近では、日本でもペリエなどの炭酸を含んだミネラルウオーターを飲んでいる人が増えてきているようです。

 これまで、「炭酸水で薬を飲んではいけない」と言われたことがある方もいるのではないでしょうか。

 しかし、結論から言うと「問題なし!」と考えられます。

 たしかに、炭酸水は薬の効果を減弱させるといわれています。その要因として、「胃内のpH(酸性度)が下がって吸収も下がる」というのが定説です。しかし、これは“都市伝説”ではないかと思います。pHは「0~14」の数値で表され、「0」が酸性、「7」が中性、「14」がアルカリ性です。炭酸水はpH4・6くらいの弱酸性ですが、胃液はpH1~2の強酸性なので、炭酸水くらいでは胃内の酸性度は変わらないと考えられるからです。

 ただし、胃酸を中和する薬(制酸薬)を炭酸水で流し込むのは注意が必要かもしれません。制酸薬はアルカリ性なので、炭酸の「酸」で中和され、若干でも効果が下がってしまう可能性があります。

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