認知症で低栄養に 患者が食べられない理由はさまざまある
認知症になると、低栄養になりやすくなります。食事の摂取量が減りやすいからです。
アメリカ栄養士会とアメリカ静脈経腸栄養学会による低栄養の3つの原因分類で見ると、認知症による低栄養の多くは「社会生活環境に関連した低栄養」に該当します。炎症はないが、なんらかの理由で食べられない状態で、患者さんのエネルギー・タンパク質の摂取量を高めることが主な治療になります。
しかし、認知症で低栄養の方は、対策がなかなか難しいです。
嚥下(えんげ)機能が低下しているのであれば、喉を鍛えるリハビリが役に立ちます。ところが認知症の患者さんでは、それ以外の理由で食べられないことが多く、鍛えることも難しいです。
認知症が進行した場合、言語でのコミュニケーションが難しくなります。そのため、本人が何を問題と感じ食べられなくなっているのか、原因を見極めなければなりません。
ある方は、白い食器に白い食べ物がのっていることで、食べ物を認識できないことが理由でした。またある方は、認知症の症状で「食べ方」を忘れてしまい、食べられずにいました。集中力低下のために、食べ続けられない方もいます。病院で出している食事が口に合わない、あるいは嫌いな食材が多いために、食が進まない方もいます。