「食べる力」は取り戻せる “不可能”診断に2つの問題点
脳卒中や認知症で要介護になると、食べる・飲み込む力が落ちる。医師からは「経口摂取は不可能」と言われがちだが、その言葉を疑うべきだ。
「口から食べたり飲んだりできなくなる人は、ごくわずか。大半の人が、適切なケアやリハビリによって、経口摂取が可能になる」
こう話すのは、20年にわたって9000人以上の食事介助を行ってきた「口から食べる幸せを守る会」理事長の小山珠美氏だ。
■食事介助をする側に問題があるケースも
そもそも、なぜ経口摂取が不可能と診断されるのか? それは、嚥下機能の低下で、細菌を含んだ食物や唾液が肺に侵入し、感染を引き起こす「誤嚥性肺炎」のリスクが高まるからだ。
高齢者では死につながりかねないため、本当に「食物を飲み込めない」状態であれば、人工的な栄養補助法である胃ろうや経鼻経管栄養などを検討するのは仕方のないことになる。
ところが実際は、「経口摂取が可能」であるのに「不可能」と診断されている人が多い。大きく分けて2つの問題点が関係している。