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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

この段階で手を打ちたい 「前糖尿病」なら薬で逃れられる

公開日: 更新日:

「前糖尿病」という言葉を聞いたことがありますか? 糖尿病というのは、空腹時の血糖値や、食後の血糖値が、ある数値以上に上がっていることで診断されますが、実際には正常の血糖のパターンと、糖尿病のパターンとの間に、そのどちらでもない、という範囲が存在しています。これをアメリカでは前糖尿病と呼んでいます。

 前糖尿病が最近注目されているのは、糖尿病になる危険が、非常に高い状態であることと、この段階で予防できれば、糖尿病に苦しむ多くの人を、将来的には救えるという可能性があるからです。

 前糖尿病の人のうち、5~7年の間には、3分の1は糖尿病に進行すると報告されています。それでは、前糖尿病の段階で生活改善などの取り組みをすると、糖尿病にならずに済むのでしょうか? 確かに生活改善により糖尿病になる人は減りますが、それでも全員が予防できるわけではありません。

 今年のランセットという一流の医学誌に、糖尿病の予防についての画期的な論文が掲載されました。それによると、前糖尿病の段階で生活改善をしても、3年弱の間に11%が糖尿病になりましたが、3種類の糖尿病の治療薬をその段階で使用した場合には、糖尿病になった人は1人もいませんでした。

 これはまだ3年足らずの結果ですが、今後糖尿病の予防のために、なる前に薬を使うのが普通、という時代になるかも知れません。

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