肥満遺伝子が多い日本人が欧米人より体が細い理由は
最近の研究では、人にはアディポネクチン受容体が活性化することで糖や脂質の代謝が促進され、糖尿病や肥満になりにくくなる仕組みが備わっているが、日本人の半数はこの受容体が壊れているという。
ところが、日本人は欧米人に比べて肥満になりやすい遺伝子をたくさん持っているにもかかわらず、日本人のBMI(体格指数)は欧米人に比べると低い。なぜか。
実は、肥満遺伝子の個々の影響はごくわずかだといわれている。肥満遺伝子を持っていても、肥満になるリスクは平均で数%程度高くなるだけで、2個以上持っていても、その人が肥満になるかどうかは正確には予想することはできない。
「肥満遺伝子は100種類以上発見されており、FTO遺伝子のように変異が2つあると肥満の可能性が最大70%も増えるというものもあります。そのためメディアによっては幼児期にDNAを調べれば肥満体質がわかると騒ぎ立てますが、現時点では正しくありません。個人の体重のうち遺伝子で説明できるのは、ほんの数%にすぎません」
実際、肥満遺伝子を持っていても、体をよく動かすなどすればFTOなどの遺伝子のスイッチをエピジェネティクスでオフにして、その影響を30%以上減らすことができるともいわれている。