痛みや恐怖感を減らす VRで“気をそらす治療”の凄い効果
VRディストラクションによる実用化がとくに期待されているのはリハビリテーションだ。
「VRは脳をどう変えるか?」(文芸春秋)という本のなかで、やけどで入院中の子供の患者54人を対象にVRを使いながらのリハビリと、そうでない通常のリハビリをやってもらい、痛みの程度を比べた海外での実験が紹介されている。結果はVR使用の方が痛みは27~44%低下し、VRでのリハビリの方が楽しかったと答えたという。
「日本でも脳梗塞で後遺症が残った患者さんなどを対象にVRによるリハビリを施す研究・開発が行われています。患者さんがリハビリの痛みを忘れ、ゲーム感覚でより楽しくリハビリができるというわけです」
例えば、あるソフトは上から落ちてくる物を腕を伸ばしてキャッチすることで体幹を鍛えてくれる。それとともに、物と患者の体の距離感覚を養うことができる。
「理学療法士の言う“あと30センチ腕を伸ばして”という感覚が患者さんと同じとは限らず、そのためにリハビリがうまくいかないケースもあるようです。その点でもVRリハビリは優れているといわれています」