著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

年内実用化へ がんを消す「光免疫療法」驚きの効果と問題

公開日: 更新日:

 早期がんは治る。この連載で何度となく語っていることですが、その可能性がさらに高まりそうです。光免疫療法に使用される薬剤が8日、厚労省の先駆け審査の対象に指定されました。

 通常、薬剤の承認審査には1年以上かかりますが、画期的な治療法など一定の条件を満たすと、審査期間が半年ほどに短縮されます。今回の指定により、光免疫療法が年内にも国内で治療に使われそうなのです。難しい説明は後回しにして、まずはその効果から。

 先行する米国の臨床試験では、再発頭頚部がんを対象に光免疫療法が行われています。

 公開されている15人のうち14人は、がんが30%以上縮小。縮小効果を示す奏効率は93%。14人のうち7人は、完全に消えたのです。完全奏効率は47%に上ります。サンプル数が少ないとはいえ、標準治療では効果がない患者が対象ですから、この効果は画期的です。

 日本では、国立がん研究センター東病院で再発頭頚部がんに対する臨床試験が行われていて、好ましい結果が出ていると聞きます。東病院では、近く食道がんを対象とした臨床試験もスタートする予定です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち