頭部打撲が多いとなぜ認知症発症リスクが高いと言われるか
たまった脳のゴミが脳神経を障害し、記憶力や判断力、理解力などの認知機能を低下させ、日常生活に支障をきたすのだ。
他の細胞なら失っても再生することがある。しかし、再生が難しい脳の神経細胞はいったんダメージを受けると元には戻らない。そのため、認知症を防ぐにはダメージの原因となる脳のゴミの蓄積を少なくすることが重要だ。
では、脳内のゴミの蓄積はどうすれば減らせるのか。まずは脳のゴミ出し機能を維持することだ。
「脳のゴミ出しのシステムは長い間ナゾでしたが、徐々に明らかになっています。例えば、脳血管に沿う形で脳脊髄液と間質液が流れています。両者は絶えず交換されることで老廃物を間質から脳脊髄液へと排出しています。これをグリアリンパシステムと言います。最近では脳表面を覆う硬膜内にリンパ管が見つかりました。これらにより過剰なAβやタウタンパク質が排出されていると言われているのです」
■脳のゴミ出し機能が壊れる
実際、Aβを過剰につくり出すマウスは硬膜内リンパが壊れると記憶をつかさどる脳の海馬にAβが沈着することがわかっている。同様の報告が複数あることから硬膜内リンパ管もまた異常タンパク質の排出に重要な役割を果たしている可能性が高い。