頭部打撲が多いとなぜ認知症発症リスクが高いと言われるか
では、睡眠中に脳の中では何が起こっているのか?
「起きている間に蓄積した脳のゴミ(老廃物)は睡眠のなかでもとくに深い眠りに当たるノンレム睡眠時に脳が縮小することで神経細胞外のスペースが拡張、Aβや過剰なタウタンパク質などが流れやすくなっていることが報告されたのです。つまり、ノンレム睡眠が多い質の高い睡眠を適度に取る人の脳内のゴミは除去されやすく、そうでない人のゴミはどんどんたまっていくことが推測されているのです」
では浅い眠りといわれるレム睡眠は脳内のゴミ出しに関わっていないのだろうか?
実は昨年健康な人を対象にした睡眠パターンと認知症との相関を調査した前向き研究が発表された。それによると、レム睡眠が少ないことが認知症の危険因子であることが報告されている。
いずれにせよ、十分な睡眠が認知症の予防になりうるのだ。
認知症を予防するにはそのリスクが高い病気を予防することが重要だ。糖尿病は認知症罹患リスクを約2倍にし、中年期の脂質異常症はそのリスクを2~3倍に押し上げる。うつ病や難聴などにも注意が必要だ。それと同じくらい頭を打たず、よく寝て、病気にならないことが肝要だ。