若い感染者が急増しているのはウイルス強毒化が原因なのか
これに拍車をかけたのが、新型コロナウイルスの体内への侵入経路だ。SARSは下気道で感染して肺炎を起こす。一方、新型コロナウイルスはSARSと同じ「下気道」だけでなく「上気道」や「腸管」にも感染する。
「新型コロナウイルスは、SARSと同じようにACE2と呼ばれる酵素と結合することを足掛かりにして感染します。ただ近年は、細胞内に侵入して感染するには補助となる別の酵素が必要だとわかってきました。心臓にはACE2が多く存在するのに新型コロナウイルスは感染しないのはそのためです。その酵素がどこに多いかは人による。その結果、上気道に感染して臭覚や味覚を失った人、腸管に感染して下痢になった人は新型コロナ感染者とは気づかれない。そのことも若者が少ないといわれた理由でしょう」
本来なら活動量が多く感染リスクが高いはずの若者の多くが重症化せず目立たないことも、少なく見える理由だったかもしれない。
「子供が重症化しない理由のひとつに、大人に比べて免疫組織が未熟で、サイトカインストームが起きにくいからだ、との説もあります」