心房細動はしっかり治療しないと認知症にかかりやすくなる
10月に発表された韓国の研究では、新規に心房細動だと診断された患者83万4735人のうち、カテーテルアブレーションを受けた患者は9119人中164人、薬物療法を受けた患者は1万7978人中308人が認知症を発症。カテーテルアブレーションを行ったグループは、薬物療法を行ったグループに比べて、認知症の発症リスクが27%低いという結果でした。
もっとも、欧米のいくつかの研究では、抗凝固剤による治療で認知症の発症リスクが低下することが示されています。いずれにせよ、心房細動がある人は、何らかの介入治療をすることで認知症の発症リスクを低減できる可能性があるといえるでしょう。
■ラクナ脳梗塞が影響する可能性
なぜ、心房細動の治療が認知症を減らすのかについて詳しいことはわかっていませんが、要因はいくつか考えられます。まず、治療によって血栓の産生が抑制され、脳梗塞を防ぐことが影響していると思われます。脳の太い血管が詰まる脳梗塞だけでなく、脳の微小血管が詰まる無症状のラクナ脳梗塞を防ぐことで、神経細胞の障害や脳血流の低下を抑制し、血管性認知症の発症を減らすのです。