著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

精神的な健康のピークは82歳前後にある 米大学の研究で判明

公開日: 更新日:

 しかし、興味深いのは、「他人の感情を目を見るだけで正しく認識する能力」において、50代の成績が最も良かった点です。亀の甲より年の功。50年も生きていれば、酸いも甘いも噛み分けていますから、他人の感情を察知する能力に秀でているのでしょう。

 この検証では、認知能力のピークが、世代によってかなり差異があることが明らかになっています。成人の早い時期に、いくつかの認知能力が安定するため、30代になると低下し始める人もいます。ただし、あくまで安定するだけであって、ピークを迎えるのではない。つまり、中には50代近くになってピークを迎える人もいる。裏を返せば、30代にどんな人生を送っているかがポイントになるといえるかもしれません。

 また、別の研究では、社会的対立についての推論は、老年期(60代以上)に向上する傾向があるという結果が出ています。対立する問題を分析したり、解決したりするのは、60代が得意というわけです。といっても、老害化する人もいますから、個人差があることは付記しておきます。

 昨今、老後については、さまざまな問題が叫ばれていますが、あまり悲観しない方がいいでしょう。南カリフォルニア大学のストーンらの研究(2010年)では、「精神的な健康のピークは82歳前後」という驚くべき結果があるほどです。あらゆる世代の被験者に、10段のはしごを思い浮かべてもらい、一番上の段(10段目)=最高の人生、一番下の段(1段目)=最悪の人生として、自分の人生が現在何段目に位置するかを尋ねたところ、最年長のグループ(82~85歳)が一番満足度が高く、平均して7段目と回答したそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する