精神的な健康のピークは82歳前後にある 米大学の研究で判明
しかし、興味深いのは、「他人の感情を目を見るだけで正しく認識する能力」において、50代の成績が最も良かった点です。亀の甲より年の功。50年も生きていれば、酸いも甘いも噛み分けていますから、他人の感情を察知する能力に秀でているのでしょう。
この検証では、認知能力のピークが、世代によってかなり差異があることが明らかになっています。成人の早い時期に、いくつかの認知能力が安定するため、30代になると低下し始める人もいます。ただし、あくまで安定するだけであって、ピークを迎えるのではない。つまり、中には50代近くになってピークを迎える人もいる。裏を返せば、30代にどんな人生を送っているかがポイントになるといえるかもしれません。
また、別の研究では、社会的対立についての推論は、老年期(60代以上)に向上する傾向があるという結果が出ています。対立する問題を分析したり、解決したりするのは、60代が得意というわけです。といっても、老害化する人もいますから、個人差があることは付記しておきます。
昨今、老後については、さまざまな問題が叫ばれていますが、あまり悲観しない方がいいでしょう。南カリフォルニア大学のストーンらの研究(2010年)では、「精神的な健康のピークは82歳前後」という驚くべき結果があるほどです。あらゆる世代の被験者に、10段のはしごを思い浮かべてもらい、一番上の段(10段目)=最高の人生、一番下の段(1段目)=最悪の人生として、自分の人生が現在何段目に位置するかを尋ねたところ、最年長のグループ(82~85歳)が一番満足度が高く、平均して7段目と回答したそうです。