著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【マクロライド系抗菌薬】肺炎だけでなく呼吸器疾患や耳鼻科でも使われ「耐性菌」が増加

公開日: 更新日:

 前回、百日咳とマクロライド系抗菌薬について取り上げました。今回はマクロライド系抗菌薬について少し詳しくお話しします。

 マクロライド系抗菌薬は、放線菌が産生する抗生物質で、ペニシリンに続き肺炎の主要な原因菌である肺炎球菌に効果を示す抗菌薬として開発されました。ペニシリン系抗菌薬やセフェム系抗菌薬が効果を示さないマイコプラズマやクラミジアといった肺炎の病原体にも効果を示すため、2000年当時、マクロライド系抗菌薬は肺炎の第1選択薬として頻用されていました。

 また、マクロライド系抗菌薬に抗炎症作用も発見されたことで、日本では汎細気管支炎などの呼吸器領域疾患や耳鼻科領域の慢性炎症性疾患にも、マクロライド少量長期療法が多く用いられるようになりました。

 このような状況でマクロライド系抗菌薬の使用量はどんどん増加し、日本ではその使用割合が他国に比べて高く、抗菌薬選択の約3割を占めています。

 そんな中、懸念されているのが「耐性菌」の問題。マクロライド系抗菌薬が効かない菌が非常に増えてきているのです。もともと効果があったはずの肺炎球菌の耐性状況は、欧米が20~30%であるのに対し日本では70~80%に上ります。肺炎マイコプラズマにおいても、日本では80%以上が耐性を示しているというデータも報告されています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?