クスリ
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【毒蛇咬傷】噛まれてもほとんど症状が出ない人がいる
暑い季節になるとアウトドアでの活動が増えます。同時に蛇に噛まれて病院に運ばれる人も増えてきます。日本には60種類程度の蛇が存在しているといわれていて、中でも毒蛇に噛まれると命に関わるケースもあります。「毒蛇咬傷」による入院で最も頻度...
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「痛み止め」と「胃薬」がセットで処方されるのはなぜか
たくさんの種類がある痛み止めの中に、「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」と呼ばれるクスリがあります。成分名でいうとロキソプロフェンやジクロフェナク、セレコキシブなどが挙げられます。 高齢者の中には、関節痛などのために...
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適切な治療や薬を知っておくためガイドラインを活用したい
今年4月に「成人肺炎診療ガイドライン2024」が発刊されました。診療ガイドラインには、その疾患の診断方法や標準的な治療方針などについて最新の情報が記載されています。多くの医療従事者にとって、さまざまな疾患の診療ガイドラインから学ぶこ...
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「EBM=根拠に基づいた医療」によりクスリの使い方も標準化された
「EBM」とは、Evidence Based Medicine(エビデンス・ベースド・メディシン)の頭文字をとったもので、日本語にすると「根拠(証拠)に基づいた医療」となります。 かつての医療は、あの患者はこの方法でうまくいっ...
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目薬の正しいさし方…点眼後にまばたきはしない
先日、ヘルパーさんから「点眼薬(目薬)」をさす順序について質問がありました。複数の点眼薬を使う場合、点眼の間隔を5分以上空けていれば配合変化などの影響は少ないとされていますが、それでも後から点眼された液によって前の点眼薬が洗い流され...
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改めて「クスリ」とはなにかを考える…漢字の意味は?
記念すべき(?)第100回ということで、「そもそもクスリとは何なのか?」について少し考えてみたいと思います。 クスリを漢字で書くと「薬」で、「くさかんむり」と「らく」が組み合わされたものです。「くさかんむり」が植物を意味して...
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世界に先駆けて日本で発売された ミトコンドリアに作用する糖尿病新薬の評判
検査値を下げられても、その先の病気の発症を抑えられるかはわからない。かつてはそんな薬がたくさんあった。しかし、いまは最終目標を達成しない薬は評価されない。糖尿病は動脈硬化の進行を促し、将来的に心筋梗塞などの心臓病のリスクを高めること...
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かゆくてたまらない…「結節性痒疹」の新薬が70年ぶりに登場
非常に強いかゆみを伴う皮膚の病気、結節性痒疹(けっせつせいようしん)。昨年6月、70年ぶりに新たな薬が保険適用となり、今年3月にも別の薬が承認された。そもそも結節性痒疹とは、どんな病気? 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学の...
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先発薬とジェネリックの差額を患者が負担する制度が盛り込まれた
2024年度診療報酬改定では、「長期収載品の選定療養」が盛り込まれました。「選定療養」とは健康保険法に基づく医療サービスの一種で、患者さんが追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる制度です...
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「抗凝固薬」を使っている人は納豆やアロエを摂取できない
ある場所でできた二次血栓が移動して他の場所の血管を塞いでしまう病気を塞栓症といい、代表的なものが「肺塞栓」と「脳塞栓」になります。いずれも命に関わる重篤な病気なので、いかに予防するかが重要で、「抗凝固薬」はそのために用いられます。 ...
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「働き方改革」で病院薬剤師が取り組むべきタスクシフト
2018年に成立し、19年4月から施行されている「働き方改革関連法」。有給休暇年5日の取得義務やフレックスタイム制の導入など、身近なところで働き方の変化が生じているのではないでしょうか。 しかし、医師における働き方改革は遅れ...
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「抗凝固薬」は二次血栓をできにくくするために使われる
血をサラサラにするクスリには「抗凝固薬」もあります。「抗血小板薬となにが違うの?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これらはまったく別のクスリです。 血の塊のことを血栓と呼び、血栓は一次血栓(白色血栓)と二次血栓(赤色血...
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薬剤師も人手不足…紹介会社に支払う手数料に悩む施設も多い
人口減が続く中、どの産業においても人手不足は深刻な問題です。医療業界でも昨今は人手不足が話題になることが多く、薬剤師に関しても不足している病院や薬局が増えています。2024年度にスタートした第8次医療計画でも「薬剤師の確保」が明記さ...
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抗血小板薬を使っている人が「出血」で注意すべきポイント
血をサラサラにするクスリのうち、「抗血小板薬」を使用している場合の一番の注意点は、「出血した場合に血が止まりにくくなっている」ということです。使っている人の中には、もしかしたら「ケガをしないように注意してください」という指導を受けた...
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災害時の医療支援は必ずしも美談ばかりではない
今年2月、災害医療チームの一員として能登半島地震の被災地に入りました。災害において支援に入った方を悪く言う報道はほとんど見かけませんが、必ずしも美談ばかりではありません。私自身、災害医療に関する知識は十分ではないため、「あの時、この...
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被災地の支援活動では車での移動中に恐怖を覚えた場面も
私が災害派遣で珠洲市に行ったのは地震から1カ月以上が経過した頃でした。金沢から能登半島に向かう高速道路「のと里山海道」は途中で寸断されており、車で金沢を出発して珠洲に入るまで、3時間以上かかりました。道路はマンホールが突き出ていたり...
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肥満症の特効薬は睡眠時無呼吸症候群も治す…発売元の製薬会社が発表
肥満症の特効薬「ゼップバウンド」が、睡眠時無呼吸症候群の症状も軽減すると、発売元のイーライリリー社が発表し、大きなニュースになっています。 睡眠時無呼吸症候群は、中等度では少なくとも1時間に15回呼吸が停止します。そのため十...
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被災地では薬剤師仲間のつながりが大きな助けになった
災害時、被災地に支援で入る医療従事者ですが、強い使命感を持って自ら進んで名乗り出る人もいれば、そうでない人もいます。私はどちらかといえば後者に当たるかもしれません。現地がどのような状況なのか情報も乏しく、わからないところに行くのはや...
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血をサラサラにする「抗血小板薬」はまず2種類併用が多い
読者の中には、血をサラサラにするクスリを使っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、一言で「血をサラサラにするクスリ」といってもいくつか種類があり、それぞれに使い方や注意点が異なります。 血をサラサラにするクスリは...
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被災地では余った医薬品の対応が手つかずになりやすい
今年2月、災害医療チームの一員として能登半島地震の被災地に入りました。2011年の東日本大震災の時もそうでしたが、私が現地入りした時期はいずれもどちらかというと災害医療を引き揚げる段階のタイミングでした。 この時期は支援物資...
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移動薬局車「モバイルファーマシー」では災害時に調剤を行える
「モバイルファーマシー」をご存じでしょうか? キャンピングカーなどを改造し、調剤を行うための設備を備えた「災害対策医薬品供給車両」です。車内には医薬品棚があり、多くの医薬品が積載可能です。 また、調剤台、小型分包機、医薬品冷蔵...
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“紅麹問題”の報道を見てイチ薬剤師が思うこと…異変があればすぐに相談
3月下旬ごろから、原料に紅麹を使ったサプリメントが原因として疑われている健康被害について多く報道されています。 自身の健康のために摂取しているサプリメントで起きた事例で、中には死亡に至ったケースもあることから、世間の注目もと...
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「利尿薬」はタイプによって注意すべき副作用が異なってくる
「利尿薬」は体内の水のコントロールを手助けしてくれますが、クスリなので当然、注意すべき点があります。そして同じ利尿薬でも、「ナトリウム利尿」と「水利尿」では注意すべき点が少し異なってきます。 まずは、ナトリウム利尿で尿の量を増...
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被災地では「処方箋」が手書きになるため事故が起こりやすくなる
前回お話ししたように、今年2月、薬剤師として、大きな地震があった能登での災害支援活動に参加しました。 災害時において、「処方箋」は手書きとなる場合が多くみられます。今回の被災地でも私が目にした災害処方箋はすべて手書きでした。...
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利尿薬が使われる高血圧・心不全・肝硬変には共通点がある
利尿薬が必要となるのは、「水がたまると困る」病態であるときです。 「血圧」が高い原因のひとつに、血液のボリュームが多いことが挙げられます。たとえば、塩分の取り過ぎで血液中のナトリウムが増えると血液は水をたくさんため込んでしまう...
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能登半島地震では現地に派遣される医療チームが大幅に増えていた
能登半島地震の発生から3カ月が経ちますが、今も多くの方が避難所に身を寄せて生活されています。その被災地には、地震発生直後から多くの医療従事者が支援活動のために派遣されています。私も2月9~13日の5日間と、2月17~21日の5日間、...
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「利尿薬」を飲むとどうしておしっこの量が増えるのか?
以前、降圧薬についてお話しした際に、おしっこを出すクスリ、「利尿薬」についても触れました。高齢者の中には、継続して利尿薬を服用している方もいらっしゃると思いますが、それがどうして処方されているか考えたことはあるでしょうか? 今回から...
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子供のアトピー性皮膚炎(下)生後すぐからの治療でアレルギーの「連鎖」を食い止める
赤ちゃんや子どもの時からアトピー性皮膚炎の治療に積極的に取り組むことの重要性が、専門医を中心に近年、積極的に発信されている。その理由をきいた。 アトピー性皮膚炎の診断基準は3つ。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医...
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【手洗い】ガイドラインがすべてではない…必要に応じた感染対策が重要
当連載も今回で最後となりました。最後に当時精神科の病院に勤務されていた薬剤師さんとのエピソードを紹介します。 ある飲み会の席で、「手洗い」について議論となりました。私は常々、米疾病対策センター(CDC)のガイドラインを参考に...
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子供のアトピー性皮膚炎(上)…生後6カ月から使える新薬が登場
アトピー性皮膚炎の新薬が2018年以降続々と登場し、その効果の高さが注目されている。ただし、小児に使える薬は非常に限られていた。ところが昨年9月、新薬のひとつデュピクセント(一般名:デュピルマブ)が生後6カ月から使えるようになった。...