感染症別 正しいクスリの使い方
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【手洗い】ガイドラインがすべてではない…必要に応じた感染対策が重要
当連載も今回で最後となりました。最後に当時精神科の病院に勤務されていた薬剤師さんとのエピソードを紹介します。 ある飲み会の席で、「手洗い」について議論となりました。私は常々、米疾病対策センタ…
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【細菌性髄膜炎】ステロイドの使用が推奨されている数少ない感染症
ステロイド薬は免疫を抑制するため感染症を悪化させてしまうケースがある……。これまで当連載で何度もお話ししてきました。ただしこれには例外があります。それは重症感染症の時です。 たとえば新型コロ…
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【クリニカルパス】手術での「抗菌薬の適正使用」が進んだ大きな要因
私が薬剤師になった頃は、手術後の創部感染の予防のため、抗菌薬を1週間ほど点滴し続けることがよくあったように記憶しています。それが現在は、ほとんどが「術後24時間以内までの投与」となり、心臓手術におい…
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【破傷風】毒素に抗菌薬は無効…治療や予防にはトキソイドが使われる
前回、空気のない所で繁殖する「嫌気性細菌」、なかでもクロストリジウム属の細菌について触れました。クロストリジウム属細菌の中でも広く知られているボツリヌス菌では、ビン詰や缶詰といった空気を抜いた保存食…
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【ガス壊疽】急速に進展し治療しても8人に1人は死に至る
前回、発症早期では蜂窩(ほうか)織炎との鑑別が難しい疾患として壊死(えし)性筋膜炎やガス壊疽(えそ)があるとお話ししました。今回は「ガス壊疽」を取り上げます。 ガス壊疽も壊死性筋膜炎と同様に…
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【壊死性筋膜炎】できるだけ早く発見して抗菌薬治療を開始する
前回お話しした蜂窩織炎と似ていて、発症早期には蜂窩織炎との鑑別が難しい疾患のひとつに「壊死性筋膜炎」があります。 蜂窩織炎は、皮膚およびその下の皮下脂肪にかけて細菌が感染した状態ですが、壊死…
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【蜂窩織炎】外傷や虫刺されから感染が始まるケースが多い
人の皮膚の下には皮下脂肪があり、皮下脂肪の下には筋肉が存在します。「蜂窩織炎」は、皮膚およびその下の皮下脂肪にかけて細菌が感染した状態を指します。皮膚の脂肪組織は蜂の巣のように見えるため、このような…
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「薬害」が感染症を引き起こす…日本で何度も起こっている
前回、大腿四頭筋拘縮症の薬害問題について少しだけ触れました。これまで、日本でもたくさんの薬害が起こってきましたが、薬害により感染症が発生したケースも多く知られています。 以前、当連載でも紹介…
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【ワクチン接種】筋肉注射のほうが副反応が少なく効果が高い
新型コロナ感染症の流行により、ワクチンを接種された方は多いでしょう。これまで、ワクチン接種といえば「皮下注射」が多い印象ですが、新型コロナウイルスのワクチンは「筋肉注射」であることを不思議に思った方…
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【感染予防】アフターコロナだからこそ正しいマスク装着とアルコール消毒を見直す
最近、「アフターコロナ」という言葉をよく聞くようになりました。たしかに、新型コロナ感染症はずいぶん落ち着いてきたようにも思います。今回は新型コロナとともに一般化した「マスク」や「アルコール消毒」につ…
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【チャーハン症候群】食中毒を起こすセレウス菌は食べ物を室温で放置することで増殖
「チャーハン症候群」(fried rice syndrome)という言葉が海外のSNSを中心に話題になっているようです。チャーハン症候群とは、セレウス菌を起因菌とした食中毒のことを指しています。昨年の…
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【エムポックス】日本で初の死亡報告 不特定多数の人と密接な接触は避けたい
昨年の12月13日、エムポックス患者の死亡例が、国内で初めて確認されました。「エムポックス」とはいわゆる「サル痘」のことです。以前に当欄で取り上げた直後、「エムポックス」へと名称変更されたのです。 …
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【クロストリジオイデス・ディフィシル感染症】再発を起こりにくくする2つの治療法
前回、抗菌薬の投与が原因で下痢などを起こすクロストリジオイデス・ディフィシル感染症は「再発しやすい」とお話ししました。 この原因はいろいろ考えられるのですが、よくみられるのは「治療薬の投与日…
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【クロストリジオイデス・ディフィシル感染症】抗菌薬で腸内細菌が殺菌されることで発症
抗菌薬を服用した際、副作用として下痢や軟便を伴うことがあります。「抗菌薬関連下痢症」と呼ばれるもので、その原因菌の代表とされるのがディフィシル菌です。抗菌薬の投与によって腸内細菌が殺菌されると、多く…
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【動物咬傷】感染予防の抗菌薬が供給不足で処方できないケースも
私見ですが、夏休みや冬休みになると、イヌやネコに咬まれた人が多く受診される印象があります。ペットのイヌやネコからしても、年末年始に久しぶりに帰省してきた家族をみると、「誰だこいつっ!! ガブっ!」と…
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【薬剤耐性】ペットや家畜への抗菌薬の乱用は人間にとって脅威になる危険
抗菌薬の不適切な使用を背景として、「薬剤耐性菌」が世界的に増加しています。新たな抗菌薬の開発は減少傾向にありながら、抗菌薬の消費は拡大していることから、それに伴って発生する薬剤耐性(AMR)が世界中…
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【ニパウイルス感染症】有効な治療薬がなく致死率は40~75%と高い
「ニパウイルス感染症」をご存じでしょうか? 今後、世界でアウトブレークするかもしれない新種のニパウイルスによる感染症です。 ニパウイルスは1998年にマレーシアで発見されました。同国で流行した…
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【ワキガ】粘り気のある汗を常在菌が発酵させて臭いを放つ
以前、当連載でニキビについてお話ししたことがあります。ニキビは単純な感染症ではないのですが、アクネ菌の繁殖も要因のひとつとなっています。同様に、「ワキガ」も単純な感染症ではないものの、菌の増殖が原因…
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【リステリア症】免疫が低下している人は少量でも感染する危険あり
「リステリア症」は、リステリア・モノサイトゲネス(以下、リステリア)という細菌による感染症です。リステリアは河川の水や動物の腸管内などに広く存在していて、主に食品を介してヒトに感染します。 他…
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【TDM】薬剤耐性菌MRSAに対する治療では欠かせない有効な手段
前回、「TDM」(Therapeutic Drug Monitoring)に薬剤師が深く関わっている、というお話をしました。今回は、広く知られている薬剤耐性菌「MRSA」の治療について、薬剤師がどの…