現代を代表する病名は「孤独」?死亡リスクが肥満並みに上昇
「現代人は孤独だ」というのは一昔前から言われていたことですが、今や孤独は現代で最も多い「病気」の一つとしてとらえられるようになってきています。症状としての孤独は、人が他人と交流を持ちたいのに、それがかなわないことから生まれる、とてもネガティブな感情のことです。よく似た言葉に「孤立」というものがあり、こちらは社会環境などによって、他人と関係を持てない状態にあることです。
孤立があると、孤独が生まれ、それが長引くと病気になるのです。2015年の研究によると、慢性の孤独はそれだけで死亡リスクを26%上昇させると報告されています。これは肥満や運動不足と、同じくらいの健康影響です。
今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、病気としての孤独の有病率を、世界113カ国で解析した論文が掲載されています。それによると、思春期の孤独の有病率は東南アジアでは最も低く9.2%で、ヨーロッパの地中海沿岸地域では14.4%の高率でした。ヨーロッパでの分析では、孤独の患者は北欧で低く、東欧諸国では高いという特徴が見られました。こうした研究はまだ始まったばかりですが、日本でも「孤独・孤立対策担当大臣」が任命されているように、孤独は大きな健康問題であるとともに、優先して解決するべき社会問題でもあるのです。