著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

脳を刺激し記憶力アップを狙うならちょっとだけ新しいことを

公開日: 更新日:

 少し専門的な話になってしまい恐縮ですが、人間の中脳には、黒質/腹側被蓋野(ふくそくひがいや)と呼ばれる領域があります。ここが新しい情報を処理する中枢部となり、新しい刺激に反応する仕組みになっています。

 たとえば、先の研究では、被験者に見慣れた景色や人の顔の画像と、なじみのない目新しい画像を見せたところ、後者の方が黒質/腹側被蓋野が活性化したという報告があります。なじみのある画像の方が、安心感もあるため、より敏感に反応しそうなものですが、目新しい画像を見せた方が、脳は刺激を受けたというわけです。

 驚くべきは、交通事故といったアクシデント、怒りの表情といったネガティブな感情を強く想起させる画像を見せると、黒質/腹側被蓋野は活性化しなかった点です。つまり、情報や記憶を処理する脳の働きは別。自主的に新しい刺激を注入するからこそ、脳はサビつきづらく、その結果、記憶力の低下を防いでくれるのです。

 ただし、新しい刺激といっても、突拍子のないことをする必要はありません。目標の高い刺激ではなく、「半歩先にある新しいことを始める」くらいのハードルの低い刺激がちょうどいいでしょう。ウオーキングが得意という人が、登山をしてみたいからといって、いきなり日本アルプスを登るのは無謀ですよね? 同様に、ステップを飛び越えた新しい刺激やチャレンジは脳が疲れやすくなるだけです。

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