白内障手術後に眼鏡をかけたくなければ「多焦点レンズ」を選ぶ
眼内レンズは、2つのタイプに大別できる。遠く、または近くの1カ所に焦点が合う「単焦点眼内レンズ(以下、単焦点)」と、焦点が2カ所以上の「多焦点眼内レンズ(同、多焦点)」だ。
近年、注目を集めているのは、多焦点の中でも、遠方・中間・近方の3カ所に焦点が合うもの。日本で初めて発売されたのが19年で、今年4月、新たな3焦点の多焦点が発売された。
■値段重視なら単焦点レンズ
焦点の数以外に単焦点と多焦点の違いをざっと挙げると、単焦点では眼鏡が必要で保険適用。多焦点(3焦点)は眼鏡がほぼ不要。一部保険適用で受けられる選定療養の対象で、全額自己負担よりは安い。白内障手術の症例では、単焦点が9割、多焦点は1割程度。
「多焦点の割合が低い理由として、単焦点より手術費がかかることに加え、一般の方の認知度が低く、特有の見え方への不安があることも大きいと思います」(ビッセン宮島特任教授=以下同)
「特有の見え方」とは、「コントラスト感度の低下」と「ハロー・グレア現象」だ。明暗の対比を見分けるのがコントラスト感度で、ハロー・グレア現象は夜間のまぶしさ。いずれも、単焦点では起こりづらい。