堀田秀吾
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堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

目覚めにポジティブな記憶を思い出す習慣でうつリスク軽減

公開日: 更新日:

 過去の記憶を思い出す頻度が増えると、記憶障害を引き起こすタンパク質が脳にたまりやすくなることを、理化学研究所の木村らの研究(2007年)は指摘しています。

 年を重ねると、脳の嗅内野(きゅうないや)と呼ばれる部分に「タウ」というタンパク質が蓄積しやすくなります。このタウタンパク質によって、記憶障害が引き起こされると考えられていて、認知症とも関係しているといわれています。

 木村らの研究チームは、マウスを使った実験で、過去の記憶が長時間にわたって脳を刺激したときに、タウタンパク質を蓄積しやすくさせる「GSK-3β」という酵素の働きが活発になることを突き止めました。タウタンパク質をどのように減少させればいいか──に関しては、まだ解明はされていません。ただし、新しいことを覚えたり、始めたりしない限り、どうしても脳は昔の記憶を思い出しがちです。

 そのため定期的にメンテナンスとして新しい刺激を注入していくと、ストレス&記憶障害軽減につながるといえそうです。なんでも構いません。テレビのバラエティー番組を見て笑う、ドラマを見て感慨にふける、身近にある小さな刺激でも十分です。最も回避すべきは、ただただ思い出にふけってその日を暮らしていくような生活の過ごし方。これでは、タウタンパク質も蓄積しやすくなってしまいます。

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