「終わりよければすべてよし」は科学的に証明されている
早いもので、もういくつ寝るとお正月。コロナに振り回された1年でしたが、終わりよければすべて良し。何をのんきなことを……なんて思われるかもしれませんが、「終わりよければすべて良し」には科学的エビデンスがある、と私は解釈しているんです。
ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学の行動経済学者、ダニエル・カーネマン氏は、「ピーク・エンドの法則」という法則を発表しています。これは、私たちはある過去の経験を、ピーク時にどうだったかと、どう終わったか(エンド)によって判断する、というものです。
その証明として、被験者を2つのグループに分け、大音量の不快な騒音を聞かせるという実験を行っています。Aグループにはずっと同じ騒音を、Bグループには時折Aグループよりもひどい音が混じる一定ではない騒音で、最後は少しましな音になる――。その結果、Bグループの方が、Aグループよりも不快さの評価が低かったのです。つまり、「ひどい音を聞かされた(ピーク)ものの、それほどではなくなった(エンド)」という記憶が、不快感を和らげる形になったのです。