「三国志」にも登場する東洋医学 頭痛を鍼で治すシーンも
鍼灸の教科書に必ずと言っていいほど記載されているツボに、「華佗夾脊穴」というものがあります。胸椎から腰椎まで、背骨の両側にずらりと並ぶツボで、片側17穴、左右両側で34穴。胸腹部の慢性疾患や肺結核に効果があるとされるほか、背中のコリや自律神経の調整に対しても用いられています。
三国志の中には魏の曹操が頭痛を鍼で治すシーンが出てきますが、「華佗夾脊穴」の「華佗」は、曹操の頭痛を治したともいわれる典医の名前でもあります。
華佗は、現在の山東省南東部・江蘇省の長江以北にあたる徐州にて、四書・五経をはじめとした学問を修めた文人。常に年齢よりも若く見られていましたが、それは「導引」と呼ばれる本人が編み出した呼吸法と、「五禽戯」と名付けられた虎、鹿、熊、猿、鳥の5匹の動物の動きを真似する気功運動を実践していたからだといわれています。
さらに漢方の処方にも詳しく、病の治療のために薬を処方する場合、はかりを用いずに目分量で確実に調合。灸をすえるときはほぼ1~2カ所だけにとどめ、回数も7~8回までながら、それでもたちまち完治したといったさまざまな伝説が残されています。