黒子的な存在だが… 放射線科医師の医師の世界でのポジション
前回もお話ししましたが、医療現場では放射線などを用いた画像診断や治療は欠かせません。そのため欧米では、放射線科医師のことを「ドクターオブドクターズ」と呼びます。
日本では「麻放病」という言葉があります。麻酔科、放射線科、病理科を総称する造語で、これらの診療科の医師は病院が採用するのが大変だといわれます。というのも、麻酔科医師がいなければ手術できませんし、放射線科医師がいなければ、いくら優れた画像診断装置や放射線治療機器があっても診断や治療はできません。病理科医師がいなければ、手術前や手術中に「がんか否か」を診断することはできないのです。
つまり、患者さんを担当する医師はこうした黒子のような「麻放病」の医師と頻繁に会って、患者の病状などの見立てをすり合わせることで診断の精度を高め、治療方針を決めていくのです。いくらスーパー外科医がいたとしても、「麻放病」の医師を抜きに手術はできません。ですから、私は研修医時代に「良い病院とは『麻放病』や栄養部といった中央セクションが優れた病院である」と習いました。