放射線機器がありながら日本はなぜ放射線科医師が少ないのか
いまや放射線などを用いた画像診断は医療に欠かすことのできない存在です。実際、日本のCT(コンピューター断層撮影)の数は世界一です。公表されている「OECD保健統計データ」によると、2020年での日本のCT数は1万4595台(人口100万人当たり115.7台)で、米国の1万4115台(同42.58台)をかなり上回っています。
MRI(磁気共鳴画像診断)やPET(陽電子放出断層撮影)数も世界トップクラスで、20年での日本のMRI数は7240台(同57.39台)、米国1万1490台(同37.99台)であり、日本のPET数は594台(同4.71台)、米国は1905台(同5.75台)となっています。
では、放射線などを用いた治療はどうでしょうか? 実は日本は世界で最も多く粒子線治療が行われる粒子線治療大国です。粒子線はX線と違い、体の中をある程度進んだあと、急激に高いエネルギーを周囲に与え、その後消滅する性質があります。それを利用して病巣部のみに高いエネルギーをぶつけて破壊し、病巣部周囲の正常細胞に悪影響を極力与えない治療法が粒子線治療です。