著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

新しい大腸がん検査の実力は? 便潜血検査のみより高精度

公開日: 更新日:

 皆さんは「大腸がん」の検診を受けていますか? 大腸がんは早期に見つかれば治る可能性が高いがんで、検診で早期発見することが重要と考えられています。通常行われている大腸がん検診は、便を採取して、そこに微量の出血がないかどうかを調べる検査です。「便潜血検査」と呼ばれています。この検査はがんの発見に有効ですが、痔など別の病気による出血でも同じように異常になってしまうという欠点があります。

 それでは、もっと大腸がんだけで異常が検出できる検査はないのでしょうか? 最近注目されているのが、便で複数のがんと関連のある遺伝子を調べて、便潜血検査と組み合わせる、という方法です。これを「マルチターゲット便中RNA検査」と呼んでいます。

 今年の米国医師会の医学誌に、大腸がん検診におけるこの遺伝子検査の有効性を検証した研究結果が発表されています。アメリカで9000人近い検査結果を分析したところ、大腸がんと診断された人の94%は遺伝子検査で陽性と判断されました。これは便潜血検査のみの78%と比較して数段高い診断率です。

 日本では別個に、血液でがんに関わる遺伝子を検出する方法も研究が進められていて、高い診断率が期待されているようです。まだこうした検査が簡単にできるわけではありませんが、近い将来、血液や尿、便の検査によって多くのがんが早期発見可能となるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」