長寿研究のいまを知る(5)危険因子は「糖化」「酸化」「炎症」
多くの人は見た目が実年齢よりも若々しくて元気な老人に憧れる。かれらには老化に関していくつかの特徴がある。そのひとつが全身が均質に老化していることだ。
老化には加齢とともに必然的に進行する身体機能の低下を意味する「生理的老化」と、病的因子によって老化が加速される「病的老化」がある。
前者はしわやしみ、たるみ、白髪などであり、物忘れをしたり、就寝時のトイレ回数が増えることなど。後者は骨粗しょう症や認知症、糖尿病の合併症などに伴うものである。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。
「本来、機能が低下した細胞は新しい細胞と入れ替わります。しかし、加齢とともに細胞の機能も衰え、入れ替わりしにくい状態になり、細胞数が減るなどして生理的老化が進んでいきます。ただし、その速度は誰でも同じではありません。臓器や組織の老化の進行速度は遺伝的要因や生活習慣により異なるため、老化の速度は人によって少なからず異なってきます」
普通の人々は、この2つの老化が混在し、進行している。ただし、長寿研究の対象となるような百寿者は病的老化が少ないうえ、生理的老化も均質に進行しているという。