長寿研究のいまを知る
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(14)老化は「44歳」と「60歳」で加速する
今年8月、米国スタンフォード大学の研究チームから老化に関する興味深い研究成果が発表された。「老化は44歳と60歳で大きく進む」というものである。多くの人が、老化とは年齢とともに体の機能が徐々に衰えて…
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(13)ダイレクトリプログラミング研究を一変させた転写因子カクテル
従来、受精卵がさまざまな臓器や組織に分化していく過程は一方向であり、一度分化した細胞は元の未分化の細胞には戻れないとされてきた。しかし、近年の研究により、さまざまな細胞を特定の機能を持つ細胞に変化さ…
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(12)細胞のリプログラミングはどこまで進んでいるのか
いまの医療は高齢者の治療に必ずしも熱心に取り組んでいるようには見えない──。 そんな不満を持つ人もいるかもしれない。それは医療従事者が、がんを含めて高齢者が患う病気の多くが老化を加速する「病…
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(11)やせる2型糖尿病薬と長寿との関係…抗がん剤より副作用が少ない
古い2型糖尿病の飲み薬であるメトホルミンに抗老化作用があるのなら、新しい2型糖尿病の飲み薬にも同様の効果があるのではないか? そう考えるのが自然だ。 実際に、2014年に日本で発売になった「…
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(10)糖尿病薬「メトホルミン」が抗老化薬として注目されるワケ
前回、カロリー制限により細胞が栄養不足を感知してエネルギーを節約する代わりにオートファジー(自食作用)が強化され、細胞の増殖・分裂などが緩やかになること、その結果として老化が遅れること、それにはIG…
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(9)長寿におけるmTOR阻害薬とカロリー制限の関係
短期間「ラパマイシン」と呼ばれるmTOR阻害薬を使うと寿命が延長することは、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウスなどでの複数の実験で証明されている。では、ヒトではどうか? そのものズバリの研…
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(8)「ラパマイシン」を世界の長寿研究者が注目する理由
前回まで、老化の原因とされる老化細胞除去を目的とした新たな「薬」や「ワクチン」の開発について取り上げた。今回は、長寿にも役立つと注目され、研究されている薬について取り上げたい。まずは「ラパマイシン」…
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(7)「老化細胞除去薬」開発のきっかけはがん研究だった
高齢者はなぜ、免疫により取り除かれるはずの老化細胞がいつまでも生き延びて蓄積していくのか--。 GLS1阻害薬によってマウスの老化細胞を減少させることに成功した東大の研究チームが目をつけたの…
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(6)老化細胞を取り除く「ワクチン」「薬」は競争が激化している
細胞は老化すると分裂を止めて老化細胞となり、動かなくなる。これは細胞分裂を繰り返すうちに損傷DNAの転写エラーが起きていびつな細胞が誕生し、それが体内で増殖し続けるのを防ぐ、がん抑制システムだと考え…
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(5)危険因子は「糖化」「酸化」「炎症」
多くの人は見た目が実年齢よりも若々しくて元気な老人に憧れる。かれらには老化に関していくつかの特徴がある。そのひとつが全身が均質に老化していることだ。 老化には加齢とともに必然的に進行する身体…
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(4)老化抑制に強く影響する「サーチュイン遺伝子」と「エピジェネティック」
今以上の長寿を実現するには、テロメアへのアプローチ以外に、どのような方法がありえるのか? ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師は大きく2つある、という。 「ひとつは…
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(3)なぜ、老化で「テロメア」が注目されるのか
遺伝子変異が老化の絶対的な原因でない証拠はほかにもある。それは遺伝子配列が同一の一卵性双子であっても同じ病気を発症するわけでも同じ時期に死を迎えるわけでもないことだ。 世界最大規模の双子研究…
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(2)「フリーラジカル」や「遺伝子変化」が老化の決定的原因ではない
20世紀後半になると、老化の原因について新たな考え方や科学的知見が相次いで報告された。その代表的な説のひとつが1956年に発表された「フリーラジカル説」である。米国医学者のデナム・ハーマン博士が唱え…
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(1)なぜ、人は老いて死ぬのか
100歳を越えて元気で長生きできる時代が現実になりつつある。2023年時点の100歳以上の日本人は9万2139人(88.6%が女性)。戦争の影響があったとはいえ、1970年の310人から297倍と急…