高齢者が幸せに暮らすために「生きがい」が大切なのはなぜか
「定年後は何をして暮らせばいいのかわかりません。今は目の前の仕事をするだけです」
あと数年で定年を迎えるAさんはこう言います。一方、同じく定年を控えたBさんは、「できれば働きたくありません。早く定年したいです。好きなことをして暮らしたいですね」とおっしゃいます。
人生100年時代になりました。65歳で定年しても、まだ35年間もあります。この35年間をどのように生きていくのかは、とても重要な問題です。
Aさんのような人の多くは、定年退職後は自宅にこもり、やりたいことが見つからず、フレイル(加齢によって心身が衰え、健康な状態と要介護状態の中間の段階)、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少や筋力の低下)、認知症の“流れ”に乗ってしまい、80歳代で要介護となる傾向があります。
かたやBさんのような人は、仕事以上に今やりたいことがある幸せな人です。このような方は、フレイル、サルコペニア、認知症の“流れ”には乗らず、自分でやりたいことをやりつつ、「筋肉量低下」という落とし穴に気をつければ、自由気ままな生活を送れます。つまり、「生きがい」「居場所」「役割」があるかどうかで、定年後の高齢者の人生は大きく変わるのです。