急速に進む「目の病気」の低年齢化…幼少期からのスマホ利用が発症を早めることも

公開日: 更新日:

たち遅れたままの日本の眼科医療

 目の健康をまもること、そして必要な医療を受けることの大切さを感じていただけたでしょうか。ぜひご自身の目を大切に、まもる行動をとっていただきたいと願います。

 一方で、目をまもるために「必要な医療を受ける」ことが本当に大切なのですが、残念ながら日本の眼科医療を全体的に見渡すと、世界の中で「後進国」といわざるを得ない状態です。そのため、日本で眼科医療を受けようと思う人は、世界水準の医療を提供することができる医療機関を探し、「選ぶ」意識が必要になります。みなさんにとってかけがえのない目の医療のことなので、厳しい現実も含めてお伝えしましょう。

 私は子どもの頃から海外にあこがれ、米国海軍病院でのインターンも経験しています。その後、主にアメリカとドイツで最新の眼科手術の研鑽を積みました。眼科医療先進国の1つ、アメリカで「世界一の眼科外科医」をめざした日々には、同僚から「ヒデ、日本人はいつ寝るの?」と聞かれるほど、寝食を忘れて学びました。

 アメリカでは医学部の中でも眼科外科医は憧れの的。今も昔も、優秀な人が集まりますから、誰にも負けたくなかった。国家試験に受かってようやく半歩前進。夢をかなえるには医師になってからの猛勉強と、世界最先端の臨床への参加、同時に国際的な眼科学会に挑戦することが必須と思ってきました。

 これまでにアメリカの眼科学会の最高賞をたびたび受賞した後、一時的に、審査員や選考委員といった立場になった時期もありましたが、私自身は常に「チャレンジャーでい続けたい」と、審査員をやめ、再び挑戦を開始しました。できることなら、名誉より、過去の自分さえ否定して科学の真実を追究するチャレンジャーでいたい。

 そんな思いで、眼科医学の世界最先端の現場でもまれ、育ててもらったと感謝しているのですが、日本の眼科医療に貢献したい思いで帰国したとき、本当に驚きました。

 帰国以前から、日本の眼科医学の教科書の誤訳・誤認の多さに気づいていましたが、臨床現場の知識や治療技術も世界水準から二歩も、三歩も遅れている印象をもったからです。

 先進国では否定されている治療法、たとえば、バックリング網膜剥離手術とかPDT(光線力学的療法)など、時代遅れの方法が残っていることも目を疑いました。それで迷惑をこうむるのは患者さんです。私は大きな失望を感じ、なんとか日本人の目をまもるために力を尽くしたいと思いました。

 かけがえのない目をまもるには、患者のみなさん自身も、病院の大小にかかわらず、世界水準の医療を提供することができる医療機関を探し、「選ぶ」意識が必要なのです。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  2. 2

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  3. 3

    佳子さま31歳の誕生日直前に飛び出した“婚約報道” 結婚を巡る「葛藤」の中身

  4. 4

    国分太一「人権救済申し立て」“却下”でテレビ復帰は絶望的に…「松岡のちゃんねる」に一縷の望みも険しすぎる今後

  5. 5

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  1. 6

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  2. 7

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  3. 8

    清原和博 夜の「ご乱行」3連発(00年~05年)…キャンプ中の夜遊び、女遊び、無断外泊は恒例行事だった

  4. 9

    「嵐」紅白出演ナシ&“解散ライブに暗雲”でもビクともしない「余裕のメンバー」はこの人だ!

  5. 10

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢