“完全食”は本当に必要な栄養が手軽においしく摂れるのか…「完全メシ」や「ベースフード」で話題
ジャンクな感じがしない
ここで、日清食品の完全メシのほかに完全食商品としてよく知られているベースフードについても触れたいと思います。完全メシ同様、さまざまなところでよく見かけるのが「BASE FOOD(以下ベースフード)」で、パンやクッキーといった商品のほかに、最近では総菜パンやパンケーキミックスも登場しています。
ベースフードの特徴は、全粒粉や大豆、チアシードなど自然由来の厳選した10種類以上の原材料を主に使用している点があげられます。購買層は、単身者のビジネスパーソンのほかに、多忙でも健康志向が高い共働き家庭が多いと言います。
ベースフードの総菜パンを実際に食べてみると、完全メシが持つジャンクな感じはなく、健康系のややヘルシーなパンを食べている感覚がします。どちらかと言えば、プロテインバーに近いかもしれません。
厳選された自然素材が使われているという点が、食べ続けるモチベーションにつながっているように感じられます。食事の時間がとれないビジネスマンにピッタリで、ランチをベースフードのパンと野菜ジュースにすれば、500円程度で済みます。いかにも令和の若者が好みそうなミニマムさと言えそうです。
ちなみに私が実食した「ベースブレッド ツナ」(税込327円)は、たんぱく質13.5グラム、食物繊維3.2グラム、鉄1.5ミリグラム、カルシウム113ミリグラムが含まれています。
栄養面を考えれば、こうした完全食だけで必要な栄養がバランスよく摂取できますが、食の役割は栄養だけではありません。食事は人との大事なコミュニケーションの場であったり、そのときの気分によって食事からはさまざまな影響を受けるものです。もちろん、栄養を摂るという1点に集中したい人もいると思うので、食事にまつわる面倒を一切排除したいと考える人がいても全くおかしくありません。
いずれにしても、日清食品もベースフードも「毎日毎食食べましょう」とアナウンスしていませんから、完全食との付き合い方は個々の生活や好みに応じてということになるでしょう。みなさんなら、完全食とどのような付き合い方をしたいですか?
▽スギアカツキ 食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。https://twitter.com/akatsukinohana