著者のコラム一覧
新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

サバ缶は健康にいい? 脳の活性化や血管の若返りなどと言われるが…

公開日: 更新日:

 今から6~7年前、「かつてないほどのサバ缶ブーム」が起こりました。

 全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアを対象に行った調査では、サバ缶は2017年で前年比35%増、18年にはさらに伸びが加速し前年比53%増。この年は、これまで魚介の缶詰売り上げで不動の1位だったツナ缶を抜き、サバ缶の市場規模が最大になりました。

 料理レシピの検索・投稿サイト「クックパッド」による18年の「食トレンド大賞」はサバ缶。食に関する調査・研究を行う「ぐるなび総研」も、18年の「今年の一皿」としてサバを選定しています。

 これほど大ブームになった理由の一つが、サバ缶の健康効果がテレビ番組をはじめとする多くのメディアで取り上げられるようになったこと。

「サバ缶第1次ブーム」と呼ばれる13年、テレビ番組で「サバ缶がダイエットによい」と紹介され、「サバ缶第2次ブーム」の16~18年には「脳の活性化」「血管の若返り」「生活習慣病予防」「ストレス軽減」「美肌」などなど。サバには必須脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれていますが、これらが健康にいいと周知されるようになったのです。

 しかも缶詰ですから骨や血合いも丸ごと食べられ、生で食べるよりサバの栄養素を多く摂取できる。使い勝手が良く、値段はお手頃で、長期保存可能。この連載の担当者の周辺でも、サバ缶ブーム時、「体にいいからサバ缶を常時ストック」とする人が続出。担当者自身は大阪に住む両親へ「認知症対策に毎日食べてね」とサバ缶48缶を送ったそうです。

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