ゲリラ落雷から身を守る「5つの方法」…8月は1分間に平均20個の雷が発生する!
日中はぐんぐんと気温が上がり、夕方になると途端に雲行きが怪しくなる。ゲリラ雷雨だ。先週水曜日には東京、埼玉、千葉の広範囲にかけて落雷が発生。短時間に板橋区の高島平団地の2個など約300の雷が落ちた。突発的なゲリラ雷雨からどう身を守ればいいのか?
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「地表面と上空との気温の差が35度くらいになると雷が発生しやすくなります。今年は猛暑ですからより雷が発生しやすくなっています」
こう話すのはお天気キャスターの森田正光氏。雷観測「フランクリン・ジャパン」の統計(2014~23年)によると、落雷は6~9月に多く(以前は7~9月とされていた)、月別の平均落雷個数は7月が72万5000個、8月が約90万7000個にのぼる。8月にいたっては北は北海道から南は沖縄まで1日に約3万個、1分間に20個の「ピカ! ゴロゴロ」が観測されている。
「雷とは“落ちる”ものと思っている人は多いでしょうが、実は下から上に放電する雷もあり、両方があります。便宜上、落ちるとしますが、稲妻が見えたらそれはどこかへ落ちたということ。避雷針は直撃雷をあえて誘導して建物や中の人を保護するための装置です」(前出の森田さん)
付近の建物に落雷すると、もの凄い轟音が響き、えも言われぬ恐ろしさがある。付近の場所に連続して落雷することがあるので、さらに危険だ。
雷対策・避雷器などを扱う「音羽電機工業」(兵庫県尼崎市)の担当者がこう言う。
「雷のエネルギーは100ワットの電球90億個分。落雷は1000分の1秒の間に電気を放電しますが、その一瞬だけ電球90億個を全て光らせることができます」
その瞬間の温度は約3万度。ちなみに、溶岩は約900~1100度、コンロの火が約1700~1900度、太陽の表面温度が約6000度なので、雷の温度は太陽の5倍もある。
こんな危険なものからどう身を守ったらいいのか。
1. ゴルフ中は高い木の近くへ避難する!?
雷は近くに高いものがあると、低いものよりこれに落ちる傾向がある。例えば、人の身長と電柱のどちらが背が高いかといえば、答えは電柱。2つが並べば、電柱に落ちる。一方、広いゴルフ場のフェアウエーでは「人」が一番高いものになってしまう。これは絶対に避けなくてはならない。
「近くに安全な空間がない場合は、電柱、煙突、鉄塔、建築物などの高い物体のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲でその物体から4メートル以上離れたところ(保護範囲)に退避します」(気象庁)
昭和の間違った知識では「高い木のそばから離れる」と教えられたような気もするが、保護範囲ならむしろ安全と言えるわけだ。ただし、木の下はダメ。近づきすぎると側撃雷を受けるので距離が大事だ。同様に電線は避雷針に近い役割を果たすため、その下は比較的安全と言える。
とはいえ、稲光がする中、野外にじっとしているのは心が折れそう。雷の活動が20分以上やんだら、速やかに屋内や避難小屋(シェルター)に移動したい。最近は習志野カントリークラブのようにシェルターを設置するところも増えている。
2. 光と音で雷までの距離を知ろう
音と光の進む速度(音速は約340メートル/秒、光は約30万キロ/秒)に差があるため、光ってから音が聞こえるまでの時間を数えることによって、ある程度の距離が測れる。
「10秒後に音が聞こえたとすると、距離にして約3400メートル離れていることになります」(音羽電機工業担当者)
ただし、上空数千メートルにある雷雲からしてみれば、3000メートルくらいはほぼ誤差の範囲。雷雲は時速10~40キロで進むので、世田谷区で雷を発生させた雲は5分後には杉並区、10分後は練馬区、15分後には板橋区へ移動している。雷鳴が聞こえる範囲にいる時点で危険なので、音が聞こえたら安全な屋内や車の中に避難すべきだ。