ワンちゃんネコちゃんも熱中症には要注意! 皮下補液なら脱水は数分で解消する
この方法のメリットは2つ。数分の短時間で必要な水分を注入できて入院せずに済むのが一つです。もう一つは、心臓や腎臓など循環器系への負担が少ないこと。注入した水分は細胞膜を介してゆっくりと取り込まれます。一方、血管に直接、補液を投与する点滴だと、一気に血液循環量が増えるため、心臓などへの負担も増えるのです。
経験豊富な獣医師であれば、症状の確認と血液検査の結果などから、皮下補液を選択して迅速に治療することは難しくありません。特に心臓弁膜症や心肥大など循環器系の病気があるケースは、こちらの方が有効なこともよくあります。
赤血球や血小板などの数値に明らかな異常が認められたり、血栓ができそうな兆候があったりすると、点滴がベスト。その場合、前述したような循環器系の障害があると、最低でも1日は入院し、脱水を補正するには5、6時間を要します。より慎重な投与が必要だと、さらに時間をかけての点滴です。
どちらが適切かは、獣医師の判断になりますが、皮下補液という治療法もあることは覚えておくとよいと思います。実は皮下補液のとき、電解質バランスが適切な補液剤を選択すると説明しましたが、一部の動物病院ではこれにプラスしてビタミン剤やアミノ酸、糖質などを添加することがあるようです。