現役世代も熱中症には要注意! “隠れ脱水”の放置がピンチを招く

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 栃木県佐野市で最高気温41度を記録した29日、関東や静岡の6カ所で最高気温が40度以上になった。全国914の観測点のうち255地点は同35度以上の猛暑日で、各地で今年最も暑い日だったことから、熱中症で倒れる人も相次いだ。一般に熱中症で倒れやすいのは高齢者や乳幼児といわれるが、連日体温超えの暑さで、現役世代も要注意だという。

  ◇  ◇  ◇

 その29日午前10時20分ごろ、静岡県掛川市で40代とみられる男性が路上で倒れているのを発見され、通報を受けた消防が病院に救急搬送したものの、熱中症の疑いで死亡した。

 消防が駆けつけたとき、男性はすでに意識がなかったという。今年、静岡県で熱中症の疑いで死亡が確認されたのは初めてだ。

 その日の掛川市は朝から気温が高く、午前7時には30度に達し、男性が見つかった午前10時には34度に上昇。午後には体温並みの36度になっている。

 男性がどのような経緯で倒れたのかは不明だが、現役世代の40代が命に影響を及ぼすほどのダメージを受けていたのはショッキングだ。

 消防庁は全国の熱中症による救急搬送状況をまとめ、1週間分の数値を毎週公表している。全体の人数は気温によって大きく上下するが、年齢区分別の構成比はそれほど変わらない。最多は65歳以上の「高齢者」で6割前後。それに続くのは、18歳以上65歳未満の「成人」で3割前後だ。この点に着目すると、現役世代も侮れないことが分かる。

 さらに厚労省は「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(2023年版)を公表。職場で死亡または休業4日以上の熱中症を発症したのは1106人で、そのうち働き盛りの30~50代は617人と6割近くを占める。業種では、建設業と製造業で4割だ。そういう過酷な現場で熱中症になるのは、高齢者だけでなく、年齢に関係ない。このデータも、現役世代が油断禁物であることを示す根拠だ。

「米山医院」院長の米山公啓氏が言う。

「高齢者は、持病やその薬、気温や熱に対しての感覚の鈍さなどが熱中症のリスクになりますが、現役世代は同じ病気があったとしても体力があるので、『まぁ、大丈夫』という過信による給水の遅れが大きい。分かりやすくいえば“隠れ脱水”です。体の水分が不足しているときに、脱水を加速させるようなことを重ねると、現役世代も熱中症になります。何しろこの酷暑ですから、熱中症との関係において若さは“免罪符”になりませんよ」

 では、どんな生活パターンが“隠れ脱水”を招き、熱中症を呼び込むのか。そのヒントを探るべく、JR新橋駅前のSL広場で複数のサラリーマンに話を聞くと、2人の熱中症経験者に出くわした。2人に発症前の生活を振り返ってもらい、それぞれのミスを米山氏に解説してもらった。

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