植田日銀が4月大型補選に配慮しマイナス金利解除を前倒しか…3.19株大暴落「暗黒の火曜日」に
株高バブルに浮かれていられるのも今のうちか──。日銀は23日の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を見送り、緩和維持を決めた。能登半島地震による影響や今年の春闘の動向などについて議論し、物価上昇と賃上げの好循環がまだ実現できていないと判断した。
市場では4月会合(25、26日)で、金融引き締めとなるマイナス金利を解除するとの見方が強まっている。
「4月会合の時点で春闘の結果はほぼ出揃います。経済・物価情勢の展望リポートを公表する会合でもある。賃上げの結果と最新の物価見通しを示し、解除の理由を説明できます」(市場関係者)
■植田総裁は4月の大型補選を考慮か
ところが、4月会合での解除決定は困難との見方が一部で浮上している。28日投開票予定の補欠選が注目の大型選挙になりそうだからだ。元々、予定されていた衆院島根1区に加え、派閥の裏金事件や江東区長選の買収事件で議員辞職が相次ぎ、少なくとも3カ所で実施される可能性がある。
「中央銀行のトップは政治日程に配慮します。もし、4月会合で解除し、直後の補選で自民党が大敗すれば、直前の金融引き締めが影響したように見えてしまう。大型補選になれば、政権とギクシャクするのを避けるため、植田総裁は配慮せざるを得ないでしょう」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
その場合、3月会合(18、19日)に前倒しするか、6月会合(13、14日)以降にするかの判断になる。
「6月以降はいつ衆院が解散されてもおかしくない政治状況が予想され、植田総裁はズルズルと解除を打てなくなってしまう。ならば、サッサと3月会合で踏み切るのではないかとの見方が一部であります」(金融関係者)
3月会合の時点では日銀が重要視する賃上げの状況も見えてくる。連合の集計(1月15日時点)によると、加盟193組合が3月11~15日に回答引き出しを目指している。大企業中心で春闘の流れを決める重要な回答だが、3月会合はその直後だ。
「11~15日の回答が昨年を上回る高水準なら、全体の結果が出揃う前でも、植田総裁は持続的な賃上げを確認できた、とマイナス金利解除に踏み切る可能性は十分あるでしょう」(森岡英樹氏)