「ホンダは豪州で強固なビジネスのネットワークを得る」
豪州におけるサッカーはラグビー、オージーフットボール、クリケットよりも人気面で劣る。
本田のアシストでメルボルンVが今季初勝利を挙げた3日のニューカッスル・ジェッツ戦も観客は1万1000人台とやや寂しかった。
「秋(開幕)冬(閉幕)制のラグビーなどと差別化を図るために春夏制を導入しているが、集客は厳しい。より注目度を高め、観客数やスポンサー、テレビ放映権料といった運営基盤を拡大していくことが、Aリーグの大きな課題といえます。(創設して)25年間で10から54クラブに増えたJリーグは成功モデルです。ホンダ獲得がその起爆剤になればいい」
コロシモ氏は豪州協会の思惑をこう代弁する。
メルボルンV側も本田の経済効果に期待する。
デルピエロ獲得に携わった現地在住の大物代理人であるルー・スティッカ氏の話が興味深い。
「デルピエロがシドニーFCでプレーした12~14年シーズンは、平均観客数が1万2000人から2万6000人に急増し、社会全体の認知度も高まりました。ホンダにも、それに匹敵する価値があるでしょう。加えて言うとメルボルンVには野菜と果物の売買、中国製ライトの輸入販売、住宅建設の分野で大成功を収めているビジネスマン3人が、クラブ幹部に名を連ねている。彼らにとってホンダは、ビジネス拡大の切り札になり得る存在なのです。ホンダ側も、豪州で強固なビジネスのネットワークを得ることになる。ウィンウィンの関係です」
今季終了時点で本田のもたらす経済効果が、どうなっているのか? 大いに気になるところだ。 (つづく)