森保Jは勝率10割…アジア杯SF進出までの「本当の評価」は
この日は森保ジャパンが発足して10試合目。スポーツマスコミは「9勝1分け。負けなしの勝率10割」と持ち上げる。就任10試合勝率10割は、2010年のザッケローニ監督に並ぶ歴代最高の戦績だ。いよいよスポーツ紙の鼻息も荒くなるのだが、森保監督の「勝率10割」にはカラクリがある。
森保監督が就任した昨年9月以降、日本代表はコスタリカ、パナマ、ウルグアイ、ベネズエラ、キルギスとホームでキリンチャレンジ杯を戦い、4勝1分け(得点15・失点4)と好成績を収めたが、これは「同時期に欧州で新設されたネイションズカップという国別対抗の真剣勝負が開催され、来日して森保ジャパンと試合をやってくれる欧州勢は皆無だった」(サッカー記者)から。物見遊山でやってきた南米・北中米の国々と西アジアの小国と戦って負けなしと言われても釈然としない。
■遅い決断力…甘い判断力
現地取材中のスポーツジャーナリスト・中山淳氏が言う。
「ロシアW杯で指揮を執った西野朗前監督もそうでしたが、森保監督も選手の自主性に任せる部分が多く、それがチームの熟成スピードを遅くしていると思います。さらには試合中の選手交代などの際、決断力の遅さと判断力の甘さも目に付きます。ベトナム戦では後半33分、MF原口元気(27=ハノーバー)に代わってアラベスへの移籍が決まったMF乾貴士(30)が、後半44分にトップ下のMF南野拓実(24=ザルツブルク)に代わってMF塩谷司(30=アルアイン)が守備固めとして投入されたが、試合の流れからいうと乾が入った場面で塩谷を入れ、チーム全体に<きっちり守って逃げ切る>というメッセージを伝えるべきだった。実直な性格で選手と良好な関係性を築き、悩み相談などにも乗り、モチベーションを上げるのがうまい指揮官だが、現状では<アジアを相手にしても安定的な強さを発揮できないチーム>にとどまっている――というのが妥当な評価でしょう」
準決勝以降の森保ジャパンの戦いぶりが「不安でいっぱい」(前出の中山氏)なのである。