肩は消耗品 ボビーが求めたメジャー流の「ブルペン調整」
「地球の裏側にもうひとつの野球があった」と言ったのはボブ・ホーナーですが、ボビー・バレンタイン監督(70)が日本で「異質」と感じたひとつは投手の投げ込みだったようです。
■ベンチから電話があるまで投球練習はNG
メジャーではリリーフが投球練習を始めるのは、ブルペンに投手交代の電話が入ってからです。そもそもメジャーでは投手の肩は消耗品という考え方が浸透しています。そうした事情と、もともとのタフさもあって、ほんの4、5球程度の投げ込みで肩をつくってしまいます。
ボビーはそれを日本でもやりたかったようで、「メジャーのような準備の仕方をしよう」と提案してきました。
リリーフ陣の中には「試しにそれでやってみよう」という投手もいたし、「監督がそう言うなら」と従う者もいました。でも、僕を含めて大半の選手はブルペン投球の時間が減ることが不安でした。
実は僕もブルペン投球の球数は少ない方。クローザーだったので出番は主に九回です。登板するかどうかは、その直前のイニングに入った時点で告げられます。「マサ、いくよ」と言われたら、ブルペン捕手と山なりのキャッチボール。1アウトになったら捕手を座らせて、軽く投げる。2アウトで少し力を入れる。チェンジになったら、仕上げの2球くらい。僕は直球、シュート、スライダーの3つで勝負していたので、それぞれ3球ずつ。ブルペンでは計9球を投げるだけです。あとはアンダーシャツを替えてマウンドに向かい、5球くらい投げれば万全でした。