松尾潔
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久しぶりの韓国ソウル。2時間ちょっとという飛行時間の短さは、つまりは近さである
ソウルに行った。 ずいぶんと久しぶりである。前回はいつかと記憶をたどれば、2015年の秋に韓国人男性アイドルグループINFINITE(インフィニット)のレコーディングで行ったのが最後。それまでの20年ほどは毎年のように足を運...
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ジャニーズ性加害問題は組織犯罪。喜多川ひとりを悪魔化して属人的問題に帰することは、巨大な性犯罪の矮小化につながる
目前に迫った衆議院選挙について語りたいのだけど、この1週間で旧ジャニーズ児童性加害問題に関して大きな動きがあったので、まずはその話から。 前回の本連載で、先週水曜(10月16日)にNHK稲葉延雄会長が定例会見で旧ジャニーズ事...
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NHK、旧ジャニタレ起用再開のサスガ!「われわれは疑惑の風化に麻痺しすぎ、無自覚すぎではないか」
NHKが旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)のマネジメント業務などを引き継ぐ「STARTO ENTERTAINMENT」所属タレントの番組起用を再開する意向を、稲葉会長が定例会見で明らかにした。故ジャニー喜多川氏による性加害問題を...
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ビヨンセのピッチ高めの歌声が聞こえてきそうな夜。狂気の沙汰に酔いから覚めた。
♪恋人よ、これが私の一週間の仕事です。テュリャテュリャテュリャリャ♪ ◆木曜(9月26日) ビルボードライブ東京の音楽イベント「松尾潔のメロウな夜間授業~R&Bの愉しみ~」を2日後に控え、その準備。今回のテーマは80~90年代の...
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人生に必要なコト・モノのほとんどはR&Bというゲーム(でありビジネス)から学んだ。
今年6月、一度かぎりの予定で2年ぶりに復活した音楽イベント「松尾潔のメロウな夜間授業~R&Bの愉しみ~」。そのとき、2019年11月に同イベントが始まって以来最多となる参加者数を記録したのを受けて、今週土曜(9月28日)にアンコール...
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RKBラジオはぼくに自由をあたえてくれた。何がって、〈言論の自由〉を――。
2年半にわたり生出演を続けてきた福岡RKBラジオの朝ワイド番組「田畑竜介グローアップ」を降板することになった。番組スタートは22年3月末、本連載が始まる5ヶ月前。健在だった安倍晋三氏が首相在任中と変わらぬ強い影響力を誇っていたのだか...
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小泉今日子×小林聡美『団地のふたり』を観て考えたこと
小泉今日子と小林聡美のダブル主演ドラマ『団地のふたり』が今月1日からNHK BSで始まった(日曜午後10時・全10回)。両者が一昨年に共演した向田邦子原作の舞台『阿修羅のごとく』は大評判となった。チケットが取れず悔しい思いをした者と...
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「日本の芸能史の素性の後ろめたさを、歴史の中でどう受けついでいくか」という〈予言〉の重み
今回で連載も100回目。ご愛読に感謝しつつ、ぼくがヒーローと仰ぐ方の近刊をご紹介したい。8月最後の土曜(8月31日)、有楽町アイマショウで早見優ライブを楽しんだあと、隣りの席で観ていた音楽評論家のスージー鈴木さんを誘って、至近の老舗...
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医者で文筆家の木村知さんと再会…最新刊『大往生の作法』に痺れ「人生の達成」を感じた
8月も終わりである。かつてそれは〈夏の終わり〉とほぼ同義だったが、いま8月が終わったからといって半袖のシャツをしまい込む人は皆無だろう。それでも毎年この時期になると〈区切りのような何か〉を感じてしまう自分は、やはり昭和の子どもなのか...
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夏は“死の匂い”を求めて本を選ぶ…白石一文「Timer 世界の秘密と光の見つけ方」には圧倒された
夏は死の匂いがする。 この国に生まれ育った者にとって、死を最も身近に感じる季節は8月ではないか。お盆。精霊流し。敗戦……根拠ならいくらでも挙げることができる。だが最大の理由は、いつまでも続くと思われた暑さにも終わりがあること...
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クリストファー・ノーランと野田秀樹 ふたりは鳴き声を異にする〈炭鉱のカナリア〉どうしなのかもしれない
先週金曜(8月9日)、長崎市では平和祈念式典が挙行された。1945年のこの日にアメリカ合衆国が長崎に原子爆弾「ファットマン」を投下して、今年で79年が経つ。ファットマンこそは〈最後の核兵器〉だ。当時の長崎市の人口24万人(推定)のう...
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イスラエルを明確に批判した広島県知事。同国大使の表情を被せて大写しにしたNHKの英断よ!
♪恋人よ、これが私の一週間の仕事です。テュリャテュリャテュリャリャ♪ ◆木曜(8月1日) 「第2回ひろしま国際平和文化祭(ひろフェス)」の開会式出席のため、早朝の品川駅へ。〈ひろフェス〉とは、かの地にとって大きな意味をもつ...
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R&B愛好者の底力を感じた3日間。「いま本当にパリでは五輪なんてやっているのか?」という疑問が…
R&B/ソウルミュージックの世界で、その名前が絶対的なグッドデザインマークを意味する米プロデューサー・チーム、ジミー・ジャム&テリー・ルイスが、さる7月28日(日)から3日間連続で計6回のライブをビルボードライブ東京で行った。 ...
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ナンノが歌う明菜曲に手拍子を打つ2024年になろうとは。
♪恋人よ、これが私の一週間の仕事です。テュリャテュリャテュリャリャ♪ ◆木曜(7月18日) 都内某所で著述家の北原みのりさんと初対面にして初対談。テーマは都知事選にはじまり、代理母出産、フェミニズムの現在地点、この国の未来まで。...
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佐野元春さんに以前から訊きたかったことを問うてみた
♪恋人よ、これが私の一週間の仕事です。テュリャテュリャテュリャリャ♪ ◆木曜(7月11日) パーソナルトレーニングの日。ぼくは食べることが大好き。20代の終わり、人間ドックで「食べる量を減らすか運動量を増やすかしないと、このまま...
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【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話
平井堅、CHEMISTRY、JUJUら人気アーティストを多く手掛け、EXILE「Ti Amo」で日本レコード大賞、天童よしみ「帰郷」で日本作詩大賞を受賞した松尾潔。今月24日に発売されるアヤ・シマヅ(島津亜矢)のアレサ・フランクリン...
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【特別対談】南野陽子×松尾潔(2)芸能の仕事をやっていなかったら…「『バツ2の事務』とか(笑)」
平井堅、CHEMISTRY、JUJUら人気アーティストを多く手掛け、EXILE「Ti Amo」で日本レコード大賞、天童よしみ「帰郷」で日本作詩大賞を受賞した松尾潔。今月24日に発売されるアヤ・シマヅ(島津亜矢)のアレサ・フランクリン...
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【特別対談】南野陽子×松尾潔(1)「同学年の人が今も活躍していることがうれしい」
平井堅、CHEMISTRY、JUJUなど人気アーティストを多く手掛け、EXILE「Ti Amo」で日本レコード大賞、天童よしみ「帰郷」で日本作詩大賞を受賞した松尾潔。今月24日に発売されるアヤ・シマヅ(島津亜矢)のアレサ・フランクリ...
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三島由紀夫賞を受賞した大田ステファニー歓人さんのスピーチが胸を強く揺さぶった。
♪恋人よ、これが私の一週間の仕事です。テュリャテュリャテュリャリャ♪ ◆木曜(6月20日) 都知事選告示日にして本コラム掲載日。テーマは昨日の有力4候補による共同記者会見。トップ交代を本気で望むなら蓮舫さん一択、話はそれからでし...
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最後まで冷静と情熱の好ましいバランスを保っていた蓮舫氏。弱者への揺るぎないまなざしが詰まっていた。
七夕に投開票が行われる東京都知事選の告示を10日後に控えた6月10日、ぼくは【長文です】と前置きしたテキストを自分のX(旧ツイッター)にポストした。以下、引用する。 「都知事選への注目が過熱気味。現職の小池百合子さん、参院議員...
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好きなロックバンドを持たなかった自分の青春は、日暮泰文の死でようやく終わった。そんな気がする。
青春はいつ終わるのか。 それを「好きなバンドが解散すること」と定義したのは、たしか小説家の樋口毅宏さんである。 いつだったか酒場でこの話題になり、居合わせた連中全員がひとりひとり「解散した好きなバンド」の名を挙げるこ...
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「私の心の中にある『故郷』は誰にも譲れない」に心を揺さぶられ、「帰郷」の歌詞を急遽朗読した
先週木曜(5月30日)の朝、東京地裁へ行った。56歳にして初めての裁判所である。若いころに法曹の道に進むのもいいなあと漠然と憧れたこともあるが、気づけば裁判とはまったく無縁の人生を過ごしてきた。文章を書いたり話したり歌を作ったりして...
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格闘技界と芸能界を自在に行き来するノンフィクションの賞獲り男として、細田昌志の快進撃は当分続くのではないか。
今年2月に完結した本紙連載「『テレビと格闘技』2003年大晦日の真実」でおなじみ、細田昌志さん。彼の第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作『力道山未亡人』がついに出版された。未発表原稿の公募制で知られる同賞の頂点に輝いただけあって...
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「やっぱり本物のジョイスさんがいいね」に安堵したビルボードライブ東京の夜
前回に続き、六本木・東京ミッドタウンのクラブ&レストラン〈ビルボードライブ東京〉での話。さる5月19日(日)、ジョイス・ライスのライブが行われた。彼女はアフリカンアメリカンの父と日本人の母を持ち、LAを拠点に活動する見目麗しきR&B...
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「五感で愉しむR&B」が一夜限りの復活 6が並ぶメロウな木曜日、ぜひ六本木に足を運ばれたし!
6月6日(木)、六本木・東京ミッドタウンの〈ビルボードライブ東京〉で「松尾潔のメロウな夜間授業~R&Bの愉しみ~」が復活を遂げる! と勢いよく書きだしたところで、情報洪水社会を生きる本紙読者のみなさまにおかれましては、「夜間...
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「ゴールデンウィーク」は映画業界の宣伝用語だった 疑わしさで満ちるは政治という現実か、映画という虚構か
春の大型連休も後半戦である。この連休の異名〈ゴールデンウィーク〉がもともと映画業界の宣伝用語だったことは有名だ。1948年の祝日法施行から3年経った51年に、当時大映の社長だった永田雅一が作ったといわれる。つまり黄金週間と映画は切っ...
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松尾潔(後編)「お前は音楽のことだけやってろ」って風潮は危険です
日刊ゲンダイで「松尾潔のメロウな木曜日」を連載中の音楽プロデューサー・松尾潔氏が、1月に上梓した新刊「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」(講談社)。上編に続いて、現在の日本を覆う言論空間に警鐘を鳴らしつ...
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松尾潔(前編)この国を覆う「忖度」の空気をつくる、多くの言葉たち
日刊ゲンダイで「松尾潔のメロウな木曜日」を連載中の音楽プロデューサー松尾潔氏が、連載をまとめた新刊「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」(講談社)を上梓、話題を集めている。そこで、著者である松尾氏に刊行に...
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【新春異色対談】松尾潔×今井絵理子 SPEED時代から25年ぶりに再会! 縦横無尽に語り合った
EXILE、CHEMISTRY、平井堅ら人気アーティストを多く手掛けてきた音楽プロデューサー松尾潔。日刊ゲンダイ連載コラム「松尾潔のメロウな木曜日」でもおなじみの彼が20代の若き日に遭遇し、ブレーンとして華々しいデビューに関わったの...
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大人の恋愛を構成するものは、恋愛感情だけではない。だからおもしろい
軽井沢在住の作家・小池真理子さんを訪問したと報告した4月の本連載で、「一編の小説を書くのはそれだけで貴重な人生経験」と記した。これはぼくが一昨年(2021年)に上梓した初めての長編小説『永遠の仮眠』の執筆中、日々実感したこと。人知れ...