高倉健インタビュー秘録
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<第23回>戦後初の韓国ロケ作品
【ホタル(2001年・東映)】 高倉健の役は特攻隊の生き残り。不治の病に侵された妻(田中裕子)と韓国へ旅に出る。 戦時中、主人公の上官は朝鮮の生まれだった。主人公は形見を持って韓国を訪…
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<第22回>拷問シーンで本当に痛がっている顔は必見
【ゴルゴ13 (1973年・東映)】 さいとう・たかを原作の劇画ゴルゴ13を実写映画にしたものだ。見る前は不安だった。 「ゴルゴ13は劇画だから面白いのではないか。それを実写にして、まし…
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<第21回>高倉健に少しも臆していない菅原文太の芝居
【大脱獄(1975年・東映)】 高倉健、菅原文太が共演したアクション映画である。両者が共演した映画は11本とされている。ただし、東映に移籍してきたばかりの菅原文太がほんのちょっとしか出ていない…
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<第20回>森繁久弥がこぼした愚痴
【海峡(1982年・東宝)】 青函トンネルの掘削をテーマにした大作で、共演は森繁久弥、吉永小百合。監督は黒沢明の弟子だった森谷司郎。森谷は高倉健と「八甲田山」「動乱」で一緒に仕事をしている。 …
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<第19回>面白い映画ではなくいかに高倉健のいい絵を撮るか
【網走番外地(1965年・東映)】 この連載は高倉健が出演した映画をあらためて見直して書いている。そのうちに共通点に気がついた。たとえば、彼が出ている映画では初期の作品のいくつかを除いて、スト…
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<第18回>見どころは「ドス」を「銃」に持ちかえたガンアクション
【駅 STATION (1981年・東宝)】 タイトルにある駅は北海道、留萌本線の増毛駅のこと。増毛は終着駅だ。深川から延びてきた線路は同駅で途切れてしまう。増毛にたどり着いた人間、希望を持っ…
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<第17回>大量のレトルトカレー&ご飯を持ち込み撮影に臨んだ
【海へ see you (1988年・東宝)】 パリを起点に西アフリカのセネガルを目指すパリ―ダカール・ラリー。この映画のロケをした時には800台を超す車、2000人以上の人間が出場している。…
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<第16回>「勝新太郎と同じくらい、寝起きが悪いと言われた」
【無宿 やどなし (1974年・東宝)】 勝新太郎、高倉健が共演した映画である。 全編、映像が美しい。日本の海、山の美しさを追いかけて撮っている映画だ。勝新太郎が高倉健との映画を熱望し…
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<第15回>政治家よりも経済人よりも日中友好に寄与した
【単騎、千里を走る。 (2006年・東宝)】 北京オリンピックの開会式を演出したチャン・イーモウ監督の作品。チャン監督作品は「紅いコーリャン」「あの子を探して」「初恋のきた道」なども知られてい…
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<第14回>主役を“食った”三木のり平演じる「屋台の客」
【あ・うん (1989年・東宝)】 珍しい高倉健が見られる映画だ。珍しさとは髪の毛の長さである。彼の場合、どんな映画に出ても、髪の毛は角刈りよりやや長めといった程度だった。だが、「あ・うん」で…
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<第13回>迫真の演技だったビートたけしの“シャブ中”
【夜叉(1985年・東宝)】 高倉健扮する主人公はかつて大阪のミナミで「人斬り夜叉」と呼ばれたやくざ。堅気になって、若狭湾に面した小さな港町で漁師として働いていた。そこへミナミから水商売の女、…
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<第12回>「あの頃は一生懸命だった。ただ懸命に芝居をしていた」
【飢餓海峡 1965年・東映】 原作は水上勉。監督は巨匠・内田吐夢。映画化はこの一度だけだが、テレビドラマ、舞台などには何度も取り上げられている。 主役は強盗殺人犯(三国連太郎)、彼を…
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<第11回>監督は「OK」なのに健さんが「もう一度やろう」
【冬の華 1978年・東映】 本作は高倉健ファンの間では「任侠映画以降、もっとも健さんの立ち回り、格闘シーンが冴えている映画」とされている。彼の役どころは一家を担う若頭。同じ組にいた友人(池部…
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<第10回>宇崎竜童が語る「高倉健からもらったもの」
【四十七人の刺客 1994年・東宝】 監督は「炎上」「おとうと」「東京オリンピック」を撮った市川崑。内容は題名の通り、忠臣蔵である。市川崑はもともとアニメーターで、洒脱な作風の人だ。 …
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<第9回>映画に出るか出ないかは「ホン」のひと言で決めた
【居酒屋兆治 1983年・田中プロ】 この映画がヒットした後、全国に「居酒屋兆治」、もしくは「兆治」と名の付いたモツ焼き屋ができた。そのうちのひとつ、三軒茶屋にある「兆治」をのぞいてみると、店…
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<第8回>筋肉質の太もも見せるため着物にも工夫
【日本侠客伝 (1964年・東映)】 この映画が公開された年、東京オリンピックが開かれた。年輩の日本人にとっては忘れられない年である。その年、ヒットした映画は「東京オリンピック」「マイ・フェア…
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<第7回>聞きどころは健さんが腹からしゃべる英語力
【ブラック・レイン (1989年・パラマウント)】 高倉健はアメリカ映画にもいくつか出演している。「燃える戦場」(1970年、ロバート・アルドリッチ監督)、「ザ・ヤクザ」(1974年、シドニー…
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<第6回>組合も納得させた「唐獅子牡丹」の美しさ
【昭和残侠伝 (1965年・東映)】 同作品は第2次世界大戦が終わった後の東京、浅草を舞台にした任侠映画シリーズの第1作だ。任侠映画としては前年に公開された「日本侠客伝」の方が先で、そちらもシ…
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<第5回>降旗監督が「もう一度」といった最初で最後のシーンがある
【あなたへ (2012年・東宝)】 「あなたへ」は結果的に高倉健の遺作となった映画である。妻(田中裕子)に先立たれた刑務所の指導技官(高倉健)が遺骨を携え、自分の車で富山から平戸までを旅するロー…
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<第4回>絶食して撮った冒頭のラーメン、カツ丼シーンの迫力
【幸せの黄色いハンカチ (1977年・松竹)】 寅さん映画のシリーズを監督した山田洋次が高倉健に出演してもらうために作った映画が「幸福の黄色いハンカチ」。山田監督のキャスティングで、渥美清も出…