「トップリーグ」相葉英雄著
松岡は大和新聞に入社して15年目の記者。経済畑を歩んできたが、政治部への異動を命じられる。慣れぬ政治部だが、なぜか政権の中枢である阪官房長官に気に入られ、官房長官番という大役に就くことに。
また松岡と同期で政治部の将来のエースと目されていた酒井は、あるトラブルのため退社し、現在はスキャンダルの暴露で有名な週刊誌の記者。東京湾の埋め立て地で1億5000万円の現金が入った金庫が掘り出されたことを知った酒井は、取材を進めるうちに、その金がかつて首相の逮捕にまで至った収賄疑獄のクライスター事件に関係することを突き止める。その真相を暴けば現政権が崩壊するのは必至。それと同時に酒井の身辺に不穏な動きが出始める。
一方松岡は、与党幹部に食い込んだ一部の記者のみが所属するトップリーグの一員となるが、異例の抜擢の裏に酒井の調べている事件と関連があることを知る。
政界の深い闇に入り込んだ2人の記者の矜持と葛藤を描き、永田町を席巻する権謀術数の世界に迫る問題作。
(角川春樹事務所 1600円+税)