「誓います」ダン・サヴェージ著、大沢章子訳
中心人物は、D・Jという養子を育児中のダンとテリーの同性カップル。本書は、ふたりがさまざまな外野の声に右往左往しつつも「結婚」について考え、互いが納得できる形を見つけていく過程をユーモラスに描いたノンフィクションだ。
前書「キッド 僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか」の続編である本書が執筆されたのは、2004年。キリスト教保守派の人々を中心に同性婚反対議論が巻き起こっていた時期にあたる。そんな社会的背景のなか、「悪運を呼び込みたくない」というダンと「ストレートのまねをしたくない」というテリーのカップルは、結婚など考えていなかったはずが、ふたりに結婚を勧める母親や「ずっと一緒にいる約束」のためにふたりの結婚を望み始めたD・Jの言葉に背中を押されるようにして、それぞれの本心をさらけ出す。
ふたりの葛藤を通して、同性愛者が家族をつくることから排除される理不尽さと、結婚制度の意味を深く考えさせられる。(みすず書房 3000円+税)