BOOKレビュー
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「閉店屋五郎」原宏一著
閉店した店や事務所の機器を買い取り、転売する中古屋の五郎は、周囲から閉店屋と呼ばれている。ある夜、見積もり依頼があった定食屋を訪ねた五郎は、依頼主の藤崎に会う前に看板娘の由佳に追い返されてしまう。 …
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「君の隣に」本多孝好著
女子大生の彩愛は、横浜・伊勢佐木町に事務所を構えるデリヘル「ピーチドロップス」に体験入店する。店のオーナーは、同じ大学に通う早瀬だった。金に困っているわけではないが、1週間前、校内で早瀬にスカウトさ…
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「殿さま狸」簑輪諒著
天正9(1581)年秋、秀吉の親衛隊である黄母衣衆のひとり、家政は、偉大すぎる父・蜂須賀小六と秀吉に屈折した思いを抱き続けていた。半年後、秀吉の毛利攻めが続く中、前線から離れた播磨竜野城で城代を務め…
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「越境へ。」西きょうじ、津田大介著
20年前、予備校講師と生徒として出会った2人による対談集。津田氏にとって10歳年上の西氏は、初めて身近に触れた天才だった。そんな予備校時代の思い出や、それぞれの青春時代の体験を語り合いながら、若い世…
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「夏の沈黙」ルネ・ナイト著 古賀弥生訳
キャサリンは、制作したドキュメンタリー番組が受賞し、順風満帆の人生を送っていた。そんな中、引っ越しをしたキャサリンは、新居で手にした本を読んで血の気が引く。そこには家族にも明かしていない20年前の彼…
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「映画で読み解く現代アメリカ─オバマの時代」 越智道雄監修 小澤奈美恵・塩谷幸子編著
映画を通して、オバマ政権下の現代米国社会の動向や文化の諸相を解説したアメリカ本。 奴隷制度を廃止し南北戦争による国家分裂の危機を回避した第16代大統領を描いたスティーブン・スピルバーグ監督の…
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「民族でも国家でもなく」李鳳宇、四方田犬彦著
在日2世の李氏と、70年代に軍事政権下のソウルに滞在経験がある四方田氏。長年、交流を続けてきた2人が、近年の険悪な日韓関係を見据えながら話し合う対談集。 国籍は「僕にとっては、利便性を優先し…
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「友だちリクエストの返事が来ない午後」小田嶋隆著
フェイスブックの「友だちリクエスト」が行き交い、友だちの数で人の価値を判断する時代に、「ぼっち」(ひとりぼっち)の視点からつづる友だち論。 幼少期からの友だちとの関係を振り返りながら、信義と…
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「めんどうな女のトリセツ」トキオ・ナレッジ著
女性の発言権が強まるにつれて、義務を果たさず、権利をはき違えた「めんどうな女」が増えているという。 例えば、実力もないのに言動だけは一人前の「キャリアウーマンきどりの女」や、友人の新しいアイ…
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「結果を出すリーダーが知っている歴史人物の知恵」NHK「先人たちの底力知恵泉」番組制作班著
偉人たちの知恵を各界の第一線で活躍するリーダーたちが読み解く人気番組の書籍化。 例えば「渋柿を切って甘柿を継ぐのは小心者のすること。渋柿は、渋柿のまま使え」との名言を残した武田信玄。タイプの…
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「断裂回廊」逢坂剛著
公安調査庁の三春が内偵中の新興宗教団体クルパジャ教団が、スポーツジムに乱入するという事件を起こす。教祖の野々宮は、ジムから怪電波が流れてきたので排除に行ったと供述。捜査で、犯行前に教団メンバーが食べ…
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「ロッパ日記代わり手当り次第」古川緑波著
戦前から戦後にかけて活躍した人気喜劇役者で文筆家でもあった著者が、生前につづったエッセーを編んだ作品集。 惚れ込んでいる今井正監督の新作映画「夜の鼓」について辛口の感想を述べながらも、「きら…