BOOKレビュー
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「為吉 北町奉行所ものがたり」宇江佐真理著
尾張町の呉服屋「摂津屋」の跡取り息子として生まれた為吉が5歳のとき、店が押し込み盗賊に襲われ、両親らは惨殺されてしまう。叔母に育てられた為吉は、紆余曲折を経て17歳で北町奉行所の中間となった。 …
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「ウクライナ日記」アンドレイ・クルコフ著、吉岡ゆき訳
ウクライナの人気作家が、その目で見た2013年の「マイダン(独立広場)革命」の詳細をつづった日記。 11月21日木曜日。ロシアの黒海艦隊の基地があるセバストポリに隕石が落ちたその日、首相がE…
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「七夕の雨闇―毒草師―」高田崇史著
能楽師の幸庵が自宅稽古場で不審死。死因は毒殺だったが、毒物の特定ができない。幸庵は、親戚でもある星祭家が宮司を務める京都・織姫神社の能楽堂で「井筒」を舞う予定だった。京都府警の村田らは、幸庵の息子・…
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「ジムグリ」飴村行著
北関東中部にある山あいの町に住む博人が帰宅すると、「トンネルにまいります」との書き置きを残し、妻の美佐が消えていた。半年前に1歳だった息子を失って以来、不安定な美佐は家出を繰り返してきたが、今回は本…
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「たすけて、おとうさん」大岡玲著
大学生のマツキ君は、失踪した父親が残した借金を、夜勤のアルバイトで少しずつ返済している。学年末、再び休学を考えていたとき、顔見知りの教師と言葉を交わす。新学期からのゼミで童話を扱うと聞き、1年生のと…
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金魚姫 荻原浩著
仏壇仏具販売会社に勤務する江沢は、ブラックな上司と失恋で心身共に疲弊し、睡眠導入剤と酒が手放せない。死ぬことばかりを考えていたが、ある夜、迷い込んだお祭りで一匹の流金をすくい、持ち帰る。古本屋で見つ…
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「『スイス諜報網』の日米終戦工作」有馬哲夫著
昭和20年、「国体護持」と「天皇制存置」が決して譲れない降伏条件だった日本の戦争指導者と昭和天皇がポツダム宣言受諾に至ったのはなぜか。その舞台となったスイスでの終戦工作を検証した歴史テキスト。 …
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「連鶴」梶よう子著
大政奉還から1カ月後の早朝、桑名藩の上屋敷に住む丈太郎を、2年前に横浜の商家に修業に出た弟の栄之助が訪ねてきた。栄之助によると坂本龍馬が京で暗殺され、現場には以前会ったときに丈太郎が贈った連鶴が落ち…
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「究め極めた『省・小・精』が未来を拓く」大河原克行著
「EPSON」ブランドで数々のエポックメーキングな製品を世に送り出してきたセイコーエプソンの歴史と、そのモノづくりの哲学を紹介する企業物語。 同社の起原は、服部時計店の腕時計製造部門の協力工場…
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「ぼくらは『化学』のおかげで生きている」齊藤勝裕著
自然現象や医療や環境問題まで、私たちの日常を取り巻く世界を動かしている化学の法則や定理を分かりやすく解説したサイエンス読み物。 ありのままの地球には現在の70億人という人口を養う力はなく、化…
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「狼たちは天使の匂い」町山智浩著
雑誌「映画秘宝」の名物編集者として斜陽著しい映画界で怪気炎を吐いた著者。いまは米国在住の映画評論家としてマイナーなドキュメンタリー映画を次々紹介するなど、独自のスタンスに立つ。そんな著者の「我が偏愛…
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「戦場観光~シリアで最も有名な日本人」藤本敏文著
内戦が続くシリアの最前線を何度も訪ねてきた著者による戦場旅行記。 トラック運転手の著者は、離婚後、子どもと会えない寂しさを紛らわせようと、海外旅行へ出かけ、カンボジアの子どもたちへの支援など…
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「シニアビジネスの新しい主役 Hanako世代を狙え!」伊藤忠ファッションシステム“この先シニア”共同研究プロジェクト著
団塊世代に続くシニアビジネスのターゲットとして注目されるHanako世代(1959~64年生まれ)を分析した世代研究リポート。 バブル絶頂期に20代だった同世代は、「中流よりもワンランクアッ…
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「マンガでわかる世界史」祝田秀全監修
日本人が知っておくべき世界の出来事77を、マンガとともに解説。監修者は、代々木ゼミナール世界史講師で、品川シルバー大学教授だ。 古代文明の発生から戦後世界まで、マンガ→解説→偉人クローズアッ…
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「救済のゲーム」河合莞爾著
全米プロゴルフ選手権最終日最終組。首位に立つニックは、18番ホールのティーショットを右の林に打ち込んでしまう。ボールは見つからず、キャディーのライアンは、「神の木」と呼ばれ恐れられている巨木の上に載…
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「下山事件 暗殺者たちの夏」柴田哲孝著
昭和24年5月、行政機関の職員26万余人を整理する「定員法」が可決。時同じくして「日本国有鉄道公社」が発足、初代総裁に下山定則が就任する。10万人規模の人員整理を課せられた下山は、他の労組からも馘首…
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「南方熊楠の謎」松居竜五編
日本の民俗学の創始者の一人で、生物・人類学者の南方熊楠(1867~1941年)は、破天荒な生活ぶりから変人奇人とされ、その学問的成果に目を向けられることがなかった。南方を再評価し、彼の思想の骨格を明…
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「満洲難民 三八度線に阻まれた命」井上卓弥著
1945年8月9日にソ連軍が侵攻。満州の首都・新京の日本人たちは、日本軍に置き去りにされ、情報もないまま町を離れる。本書は、その南下中、朝鮮北部の小さな町・郭山で難民生活を余儀なくされた日本人100…
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「深紅の断片 警防課救命チーム」麻見和史著
深夜、廃業したスーパーの敷地内に「女の子が閉じ込められている」と舞川市消防本部に通報が入る。出動した救急隊長の真田らは、廃棄予定の冷蔵庫の中から少女を救出する。庫内の床には大量の血液がたまっていたが…
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「地球農学の構想 ミネラル畑にいのちはあふれ」川田薫、川田肇著
「岩石から抽出したミネラル」に着目した新しい農業科学への案内書。 農業が直面する危機の根底にあるのは、病んだ「土」。ゆえに土のもとである「岩石」に含まれた、「わたしたちの『いのちの素』である『…