「民族でも国家でもなく」李鳳宇、四方田犬彦著
在日2世の李氏と、70年代に軍事政権下のソウルに滞在経験がある四方田氏。長年、交流を続けてきた2人が、近年の険悪な日韓関係を見据えながら話し合う対談集。
国籍は「僕にとっては、利便性を優先した個人の認証でしかない」と語る李氏は、最近、仕事上の都合で日本の国籍取得を考えているという。その国籍取得を通して、国家保安法を維持して在外韓国人にまでそれを適用する韓国の抱える矛盾に一石を投じたいと。
そうした在日韓国人と韓国人の関係から、在日社会を目の敵にする「在特会」の活動、北朝鮮との向き合い方、さらに映画についてなど。縦横無尽の話題を語りながら、世界を変えるためにはお互いにどうすればよいのかを考える。(平凡社 2000円+税)