BOOKレビュー
-
「国道者」佐藤健太郎著
国道マニアの著者が、全国の奇妙な国道を紹介する面白ウンチク本。 現在の国道333号の前身は、明治時代に軍事拠点だった旭川とオホーツク海に面した網走をつなぐ「中央道路」。ロシア帝国の脅威に備え…
-
「早春賦」山口恵以子著
明治28年、20歳の菊乃は、政商の父・勝太郎の意向で、伯爵家の子息・通敬に嫁ぐ。菊乃は、一目会ったときから、通敬の得体のしれない魔性の魅力に引き寄せられる。しかし、初夜、菊乃は通敬の扱いに自分が大切…
-
「中東特派員はシリアで何を見たか」津村一史著
通信社の中東特派員による現地リポート。 2012年6月、シリアでは政府軍と反体制派の戦闘が激化し全土で内戦状態に突入。内戦は加速度的に複雑化して、シリア北部に無法地帯をつくり出し、それがイス…
-
「植物は〈知性〉をもっている」ステファノ・マンクーゾほか著、久保耕司訳
植物が知性を備えていることを解き明かす驚きのサイエンスノンフィクション。 植物に知性がないというのは人間の思い込みに過ぎず、実は植物も感覚を備え、コミュニケーション能力もあり、社会的な生活を…
-
「よく眠るための科学が教える10の秘密」リチャード・ワイズマン著、木村博江訳
人生の3分の1を占める眠りと夢の関係を明らかにする科学ノンフィクション。 実は睡眠は、思考や感情、行動に影響を与えているという。20世紀初頭、脳波の記録を可能にしたドイツ人のベルガーから、睡…
-
「日本の古典に学びしなやかに生きる」加賀乙彦著
長年読み継がれてきた古典は、時代を超えて人間の心に響く普遍性を持っている。さらに古典を読むことで自分の根底にある、ものの考え方をつかむことができ、「生き方」を学ぶこともできると、著者はその効用を説く…
-
「小説・新聞社合併」大塚將司著
発行部数首位を走る大都新聞の社長・松野は、明朝の朝食会に備え、社が用意したホテルにチェックイン。その後、近くの料亭で業界3位の日亜新聞の社長・村尾と密会する。部数の減少に頭を悩ましていた松野は、1年…
-
「ペンギンを愛した容疑者」大倉崇裕著
事件の容疑者や被害者が飼っていたペットの世話をする警視庁総務部動植物管理係の須藤は、捜査1課からの依頼を受け、相棒の圭子と実業家の藤原の屋敷に駆けつける。 その日の朝、藤原が屋敷内のペンギン…
-
「プーチンの実像」朝日新聞国際報道部 駒木明義、吉田美智子、梅原季哉著
国際情勢の鍵を握るロシア大統領の素顔に迫るルポルタージュ。 旧東ドイツ・ドレスデンのKGB(ソ連国家保安委員会)支部に勤務していたプーチンは、1990年に故郷レニングラード(現サンクトペテル…
-
「小説集 真田幸村」末國善己編
明年のNHK大河ドラマの主人公は、大坂夏の陣で家康をあと一歩のところまで追い詰めた名将真田幸村。本書は、武田信玄に仕えた幸村の祖父・幸隆、父・昌幸、幸村の3代を描いた時代小説を編んだアンソロジー。 …
-
「中国残留孤児70年の孤独」平井美帆著
戦争で中国に置き去りにされた「中国残留孤児」とその家族の波乱の人生を追うノンフィクション。 池田澄江さんは、生後10カ月の時に黒竜江省牡丹江で子供のいない中国人夫妻に引き取られ「徐明」と名付…
-
「『30万人都市』が日本を救う!」田中秀臣編
日本経済復活の処方箋を論じた鼎談集。 日本経済の現状は、国内的には消費税増税による経済失速という「国内不均衡」、国外では中国のバブル崩壊など国際経済縮小の危機という「国際不均衡」の状態に直面…
-
「戦場中毒 撮りに行かずにいられない」横田徹著
世界各地の紛争地を渡り歩いてきた戦場カメラマンがつづる迫真のルポルタージュ。 24歳のときに、20年ぶりに再会した父の影響で戦場カメラマンを目指すことにした氏は、1997年、カンボジアのクー…
-
「アリババ 中国eコマース覇者の世界戦略」ポーター・エリスマン著、黒輪篤嗣訳
中国の巨大企業アリババの内幕を描く企業ノンフィクション。 著者は、創業間もない2000年から8年間、グループ初のアメリカ人社員として同社に勤務し、副社長まで務めた。元教師の創業者ジャック・マ…
-
「東京2025ポスト五輪の都市戦略」市川宏雄、森記念財団都市戦略研究所著
5年後のオリンピックに向けて、東京都心部で活発化している開発プロジェクトは2025年までにその多くが竣工を迎える。本書は、世界一を目指す東京の都市戦略の方向性を示すテキスト。 東京への一極集…
-
「60t(トゥルー)とf(フォルス)の境界線」石川智健著
警視庁捜査1課の刑事だった有馬は、定年目前に誤判対策室に出向。死刑囚が拘置所で無罪を訴え続けている場合、事件を再捜査する新組織で、検察官の春名と弁護士の世良とともに働き始める。 仕事に身が入…
-
「語りだす奈良118の物語」西山厚著
奈良国立博物館の学芸部長として多くの展覧会を企画運営してきた著者によるエッセー集。 東日本大震災の数日後に記した「大地との絆」では、アニメ「風の谷のナウシカ」の主人公の少女と、東大寺の大仏を…
-
「暴走を始めた中国2億6000万人の現代流民」石平著
世界が注視する中国経済の現状と行方を伝える国際リポート。 李克強首相は、かつて「中国経済の指標で信用できるのは、鉄道貨物運送量と電力消費量だけ」と発言。しかし、昨年の電力消費量の伸び率は半減…
-
「動物翻訳家」片野ゆか著
各地の動物園で、動物たちのためにより良い環境を目指して悪戦苦闘する飼育員たちの姿を描いたリアルストーリー。 埼玉県こども動物自然公園の飼育員・小山は、園長の日橋に見込まれ新設されるペンギン舎…
-
「『ない仕事』の作り方」みうらじゅん著
これまでジャンルとして成立していないものや、区分けされていないものに目をつけ、ひとひねりした名前をつけ、世の中に仕掛けてきた著者。 そんな著者の手法は、企画、営業、はたまた接待まで全部自分で…