文庫あらかると
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「映画俳優安藤昇」山口猛著
男が惚れる男のスター。といっても健さんや文太兄いではない。何しろ特攻隊くずれの愚連隊上がりという本物。誰からも「目つきが違う」と恐れられたのがこの人だ。 生い立ちに始まって下北沢、渋谷と縄張…
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「古書ミステリー倶楽部Ⅲ」ミステリー文学資料館編
古書や蔵書などをテーマにしたミステリーを編んだアンソロジー。 自殺した妹の翔子が一人暮らしをしていた部屋で遺品の整理をしていた薪子は、あることに気づき不審が募る。部屋の本棚の高さが小柄だった…
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「増補 八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学」佐藤卓己著
ポツダム宣言を受諾した日でも、降伏文書に調印した日でもなく、なぜ玉音放送があった「8月15日」が終戦記念日なのか。戦後、メディアによって形成された日本人の終戦にまつわる集合的記憶を検証した論考。 …
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「探偵・竹花 再会の街」藤田宜永著
探偵の竹花は元総会屋の中里から人捜しを依頼される。捜すのは、30年近く前、中里が刑務所に入っている間に姿を消した愛人の綾子と2人の間に出来た娘の真澄だった。真澄の住むマンションを見つけ出した竹花は、…
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「しろいろの街の、その骨の体温の」村田紗耶香著
拡張を続けるニュータウンに住む小学校4年の結佳の学校には転入生が絶えない。仲良しの若葉もその一人だ。もう一人、信子が加わりグループを作る結佳だが、心の中では自分は彼女たちとはちょっと違う女の子だと自…
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「性愛と結婚の日本史」加来耕三著
日本人の奥深い恋愛文化と結婚の変遷をたどる歴史読み物。 古事記の昔から、日本人は性に対して実におおらかで、恋愛が何よりも大好きな民族であったと著者はいう。その古事記によると、親子間や同母の兄…
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「玉の井という街があった」前田豊著
隅田川の東隅にかつてあった私娼街「玉の井」と、そこに生きた人々の姿を記録したエッセーの復刻版(1986年刊)。 玉の井のはじまりは、大正12年の関東大震災で焼け出され浅草から移住してきた銘酒…
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「完本山口組三代目田岡一雄自伝」田岡一雄著
日本最大の任侠組織「山口組」を率いた3代目組長の自伝。 大正2年、徳島県の貧農の家に生まれた氏は、幼くして両親を亡くし、神戸に住む叔父に引き取られる。尋常小学校を卒業し、旋盤工として働き始め…
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「愛する伴侶を失って 加賀乙彦と津村節子の対話」加賀乙彦、津村節子著
がんで夫(吉村昭)を見送った津村氏と、くも膜下出血で突然、9歳年下の妻を亡くした加賀氏。80歳を前に連れ添った伴侶を失った2人が、故人を偲びながら生と死を語り合った対話集。 夫の闘病中も仕事…
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「炎四郎無頼剣淫殺篇」鳴海丈著
浪人の炎四郎は、路上で沙絵と名乗る女に声をかけられ、茶屋に入る。市中を騒がす凄腕の辻斬りに旗本の父親を殺されたという沙絵は、仇討ちを炎四郎に依頼してきた。炎四郎は、命がけの仇討ちを人に頼む代わりに「…
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「よみがえれ!老朽家屋」井形慶子著
住みたい街ナンバーワンの吉祥寺で破格の老朽不動産を手に入れ、住宅兼店舗にリフォームするドキュメンタリー。 老後の楽しみにイギリス雑貨を商う店を始めようと思い立った著者は物件探しを開始。しかし…
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「夕影」辻堂魁著
身につけた算盤の腕で生計を立てる、“算盤侍”こと唐木市兵衛は、腹違いの兄で公儀十人目付筆頭格の信正の仲介で旗本・三宅家から依頼され、下総の葛飾に向かう。3年前、不祥事を起こし虚無僧となった三宅家の末…
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「新装版 レズビアン短編小説集」ヴァージニア・ウルフ他著 利根川真紀編訳
19世紀末から20世紀前半に書かれた女性同士の愛の物語を集めたアンソロジー。 マーサは、ニューイングランドの田舎の村アッシュフォードの屋敷で働き始めたばかりの家政婦。ある日、屋敷の女主人・ハ…
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「ぼくらの身体修行論」内田樹、平尾剛著
武道家の顔も持つ内田氏と、元ラグビー日本代表の平尾氏の対談集。それぞれの立場、経験から人間の潜在的な身体能力を開発するにはどうしたらよいかを論じ合う。 内田氏によると、イギリスのパブリックス…
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「忘れゆく男」ピーター・メイ著、青木創訳
エディンバラ市警の刑事フィンは、妻と離婚し、仕事も辞めて故郷のルイス島に戻る。荒廃した実家の修復を始めたフィンは、認知症の進んだ父親トーモッドの介護に手を焼くかつての恋人マーシャリーに手を貸す。同じ…
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「華人歌星伝説 テレサ・テンが見た夢」平野久美子著
出身地の台湾をはじめ、東南アジア各国で再顕彰が進む、1995年に急逝した歌手テレサ・テンこと鄧麗君(デン・リーチェン)の評伝。 鄧麗君は日本人の想像をはるかに超えたレベルで、世界中の華人社会…
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「この1冊で早わかり!日本の古典50冊」阿刀田高監修
人生に啓示を与えてくれる一冊から面白エンターテインメントまで、解説とダイジェストで日本を代表する古典を紹介する入門書。 古事記や日本書紀にはじまり、万葉集や源氏物語など教科書でもお馴染みの定…
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「話虫干」小路幸也著
故郷の馬場横町市立図書館に司書として就職した糸井は、館長から副館長の榛(はしばみ)と「話虫干」をするよう指示される。榛から見せられた図書館の蔵書である夏目漱石の「こころ」を開くと、途中からまったく異…
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「かぶき者慶次(1・2)」小松江里子作 火坂雅志原案 百瀬しのぶノベライズ
関ケ原の戦いから8年、かつて秀吉から「天下のかぶき者」といわれた前田慶次は、米沢城下で隠居さながらの暮らしをしていた。息子の新九郎は、そんな父親から早く家督を譲り受け、主君のために働きたい。しかし、…
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「経済特区自由村」黒野伸一著
大手外食産業の下請けとして養鶏場を営む明男は、親会社の営業マンに我慢ができなくなり突き飛ばしてしまう。動かなくなった営業マンを見て怖くなった明男は、車のガソリンが尽きるまで逃げた末に山をさまよい、老…