「性愛と結婚の日本史」加来耕三著
日本人の奥深い恋愛文化と結婚の変遷をたどる歴史読み物。
古事記の昔から、日本人は性に対して実におおらかで、恋愛が何よりも大好きな民族であったと著者はいう。その古事記によると、親子間や同母の兄妹(姉弟)だけは禁忌であったが、それ以外は男女にタブーはなく、最近の研究では「国生み神話」のあのイザナキとイザナミも兄妹ではないかと想定されているそうだ。現代では「夜這い」と誤解されているが、もともとは女性を訪ねた男性が名を「呼ばふ」という動詞の名詞化で、「婚い(よばい)」は婚姻手続きの第一段階だったという。その他、職業としての売笑(売春)のルーツなど、古典を読み解きながら往時の日本人に男女関係のヒントを学ぶ。(祥伝社 640円+税)